池袋の隅っこ中華で視界が開ける

ニーハオ、ニホンコンです。
池袋の隅っこで、面白い時間を過ごしました。

いつもの中華ナイト、友人の上京に合わせて池袋で待ち合わせ。
もはや私が行きたい中華に連れまわしているのだけど、毎回面白がって付き合ってくれる。

怪しさ歴代ナンバーワン中華

入口も分かりにくくて、小さな空間

ずっとずっと行きたかった数名しか入れない中華、その名も「沙漠之月」。
何年も行きたかったけど、大勢では行けない、けど1人で行く勇気もなく、ずっと
行きたいリストの上位にランクインし続けていたのを、今宵は勇気をもって入店。

実は数か月前に予約の電話をしたけど、オーナーの中国人お母さん「そんな先、忘れるよー!」
といって笑い飛ばされたっけ。一応受けてくれたけど、1週間前にリマインド電話を入れる私。

自分が何食べたいか目標を決めないと

大量のパクチー

メニューは、無い。

「何食べたい?肉?魚?野菜?何でもできるヨ」みたいな会話から始まる。
「だってその日の気分じゃない、食べたいものなんて」と、あくまで「自分の心に聞け」的な
指南をしてくれる。

お店はすぐにいっぱい。私たちの他に女性2名、あとは予約なしでフラッと入れた男性1名で、
もうお店はギュウギュウ。何回も来た事がある隣の女性客たちが「パクチーのサラダ!」とか
「麻婆豆腐!」などと言うもんだから「じゃあそれも!」なんてついついつられてしまうのだけど

「ダメダメ、人につられちゃ、あれこれ流されるとすぐにお腹イッパイになっちゃうよ!」
「自分が何食べたいか先ずは目標を決めなきゃ」

要は「己の欲求を貫け」ってことだ。

簡単そうだけど再現できない美味しさのパクチーと干し豆腐のサラダを頂きながら、
あれこれオーナーのお母さんとお話する。

このお店、中華料理版スナックとでもいうか。L字のテーブルは全く顔見知りでもないのに、
いつしか全員が仲間みたいになって大爆笑しているという、不思議空間。

一語一句覚えてないけど、覚えてる感覚

今宵の私たちは、餃子を目標として突っ走りました。他にもホロホロの軟骨と卵と厚揚げの
煮込みや、キュウリと鴨のクミン和え、青椒肉絲も頂きましたが、小さな冷蔵庫と
IHの家庭用コンロから紡ぎ出されるとは思えないほどの手際の良さと美味しさたるや。

青椒肉絲、こちらも美味しかった!

オーナーのお母さんのお人柄なのか、スーパー居心地がよく、でもズバッと物を言うところは
気持ちがよい。一貫して「人がどうこう思うより、自分がどう思うか」というところを、
オーダーしかり、会話の端々に突っ込んできた。

「だってそうじゃない、アタシが嫌なものは嫌なのよ!」

それは中国の人が日本の人よりも主張が強い、という平たいお国比較なんていう簡単なもの
ではなく、日本人と結婚してもう長く住んでいる彼女の、ひとつの譲れない個性みたいなものを
垣間見た気がしたな。

皮から手作りの中華餃子は、やっぱり美味しくて大好き

きっとその場にいたお客さんは、あの空間で交わされた言葉の中から、それぞれ自分が
良いなと思うものを持ち帰って記憶に閉じ込めていると思う。

少なくとも私は、そのお母さんの揺るがない意思というか、自分の気持ちや今の気分に
正直になれていて、それをストレートに相手に伝えるところが、なんだかとっても響いて
パァっと視界が開けた気がしました。

しばらくその言葉を胸に過ごしてみて、また次にこの場所を訪れたらどんな
言葉が刺さるのかな、なんて楽しみになってみたり。

池袋の隅っこ中華。スナック感覚でヒントを貰っちゃったりと、スーパー面白い場所でした。

いつか皆さんも誘いたいところです。

10月7日 ニホンコン

ニホンコン

(毎週火曜日更新)
北京と香港に住んでました。今は湘南に住みながら中国語や異文化の先生をしています。ちなみに3人娘のおかあさん。

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