お金のハナシは盛り上がる
中華圏アルアル、ニホンコンです。
日本では、あからさまにお金の話をするのは、ちょっと気が引ける。
特に、公の場では。
中国人との授業では、真逆。むしろお金の話がゴロゴロしているのだ。
そんな話を、東京に用事ついでに食べたかった台湾の豆漿(ドウジャン)と
共に送ります。
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初回の授業から
自己紹介に続き、「96年から97年にかけて北京で学習していました」
これを言うと、もう横ヤリが入る。
「せんせー!その時マンション買わなかったんですか?!」
ああ、そこに槍が入るのか!と彼らの視点の鋭さと、彼らの
お金の嗅覚にもはや感動すら覚える。
買ってないと答えると、
「何で買わなかったの?!」「あーーせんせい残念」
と全員でため息。
今や都心部の不動産は最も高い時期と言われ、電車で1時間くらい
かかる郊外のマンションでも軽く億は超えるという。
「紫禁城の裏路地とかにある、風情溢れる四合院に住みたかった
んだよねー」
(四合院:中国北方地方独特の建築スタイル、東西南北に
4つの向き合う部屋があり、真ん中は中庭があり、とても素敵)
なんて言おうもんなら、学生からの横ヤリでぶっ刺される。
「ああ、それ買ってたらせんせー億万長者だったのにー!
何やってるの、もう!!」
億万長者って言葉を知ってることにも関心したが、私の財テクセンス
のなさを初対面の若者たちに嘆かれるという、トホホな滑り出し。
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銭ネタはちょいちょい入る
授業を進めていくと、何となく見えてきたことがある。
頻出の質問は「それいくらですか?」。
また、「それはみんな聞きたくて、盛り上がる」。
更に、「その金額が高ければ高いほど盛り上がる」のだ。
例えば「日本の結婚式」。なぜって、中国より圧倒的に
「ご祝儀の相場が高い」から。
彼らは結婚式で「紅包(ホンパオ)」というご祝儀を包むのが
習慣。でもその相場は関係にもよるけど、友人なら500元と口を
揃えて言っていた(日本円で9千円くらい)。
もちろん聞かれる「日本はいくらですか?」には
自分がこれまで包んできた金額を紹介する。
「友人で3万かなー!20代の頃は1か月に3回参列したこともあるよー」
なんていうと、中国人の学生たち、どっと盛り上がる。
逆にお年玉は中国のほうが盛り上がる。なぜって、中国のほうが
圧倒的に「いい年こいて親から貰ってる、しかもなかなかの額」だから。
学生のほとんどが成人をとうに超えているにも関わらず、さすが1人っ子。
ほぼ全員が毎年親からお年玉をもらっているので、春節明けの授業は
こっちから「ねえ、いくら貰った?」と下衆の勘繰りを展開。
下衆と思うのは日本人のわたしだけで、彼らは喜んで貰った金額を
みんなの前で披露してくれる。
これは家庭によって違うけど、金額のコールはオークション並に吊り上がる。
「1万です」「3万です」「5万です」「10万です」と。オイオイオイ、
たかがお年玉でそんな貰う?とこっちが驚く。
ちなみに、最後に出た最高値は「30万です」だって!
春節気分が抜けない学生たちにもさすがに衝撃だったようで、
イッキにシャキンとなり、授業を忘れるほど、どよめいた。
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壁の剪纸(中国切り絵)もいい感じ
大家もいる、社長もいる教室
中国が今とても豊かになってきたからなのか、なかなかに
お金に余裕がある中国人の留学生たち。
日本語運用力の向上を兼ねてある学生にバイトをすすめても、
「この人、大家さん!家賃収入あるからお金あるの!」
と、隣の席の子が代わりに断ってくるという謎の返し。きっと
下衆の勘繰り以前に、全員が全員の懐事情を知ってるんだろう。
既に起業して自分の会社を経営している学生もいて、
修了スピーチでは金持ちになります宣言してくれたりして。
(社長なのになぜ学生?)。
ひとりの学生はこういったっけ。「僕、一人っ子だから、言えば
お金もらえるんです。まあ、言ってみれば『親のお金は僕のお金』
ってとこですかね」と。ってかその概念、ナイナイナイナイ!絶対無い!
ちなみに、欠席が続いていた学生は、教務課の担任に聞いてみると、
「ああ、Rさんね。お父さんが投資で失敗しちゃって」と、さらり。
ちょ、待って。日本で聞いたことない!そんな欠席理由。
と、いちいちお金エピソードは私の想像を軽々と超え、そして
追い付けないほど遠くまで飛んでいく。
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少し変わってきたとも聞くけど
今はZ世代と呼ばれる若者たちの価値観も相当に変化している
らしく。競争より個性、金銭より自由という精神的ゆとりを
追い求める若者も増えているんだとか。
それでもまだ、中国女性が伴侶に選ぶ男性の条件は、まず
「マンションを持ってること」と。いや、億超えてるってば!
(20代の独身男子に用意させるって、そりゃ殺生な)
エネルギッシュな彼らにとって、お金とは、15億人と言われる
巨大な社会の中で、モーレツに動いて生き抜いていくための、
大量に必要なガソリンみたいなものなのかもしれない。
お金バナシは千差万別。100人くらいにインタビューして
訪ねてみたいところですが、それ人口の0.0000・・%
と思うと果たして根拠のあるデータになるかがそもそも不明。
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ちなみに写真の美味しかったお肉入りのパン(360円)、10個は食べれたな。
学生たちは絶対「10個買ったらいくらですか?」と聞くだろう。そしたら、
わざわざ「ひゃー!」って言いそうな例えの
「夜行バスで言うなら、東京から名古屋に行けるくらい」って返すつもり。ひゃー。
9月28日 ニホンコン