2番のきもち

ニーハオ、ニホンコンです。
娘2号の最後の夏、部活動のバスケットボールの決勝戦がありました。

前日、「準優勝とかってヤなんだけど」と言う2号。

聞くと「負けて終わるのは準優勝だけ」だからだと。
まあ、ここまで来たら優勝したい気持ちは、応援する親もまた、同じよ。

端で見ていて分かる。死ぬほどの練習量と努力をしてきた3年間。慣れない頃は
その練習量のハードさに「殺す気か!」って怒りながら帰宅してきたもんだ。

ゼエゼエ言いながら短い時間で水分補給する夏は、ひと口目が呑み込めず、
ゴボゴボッてむせるんだと。陸上の長距離選手かと思うほどの走り込みや
絞れるほどのTシャツの汗。

日々の「バスケ部あるある」の過酷さに、最初は親がビビるほど。

決勝戦に行くチームは「頑張ったらうっかり決勝まで行きました~!」
なんていう「まぐれ」は皆無で、その上の、更にその上を目指しているゆえの通過点。

だからこそ、どのチームも同じくらい死ぬほど努力して、キレイに仕上てくるので、
ベスト8くらいからは寿命が縮むかと思うようなギリギリの戦い。

顧問の先生もよくぞここまで中坊をしごけるもんだと思いながらも、プライベートの
時間の殆どを費やして指導に当たる熱心さにも頭が下がる。このエリアは、部活縮小傾向の
中でも、まだまだ熱血部活や指導者が沢山存在するのもイイところ。

決勝戦は、見ているこちらが吐きそうになる程の緊張の中、つかず離れず、離れては
追いつかれ、抜いたと思ったら抜かれを繰り返す攻防戦。

「ずっと苦しかった」という2号の感想が、その場のプレッシャーがいかほどに重いかを
語っていて、息を飲むような展開の中で、応援席はただただ声援を送るのみでした。

勝者と敗者、1番と2番を分けるのは、無常に時を刻むタイマーのみ。
どちらが勝ってもおかしくないほどの好ゲームの中、残酷にも1点差ビハインドで
ブザーが鳴る。

準優勝を快挙と捉えるか、2番と捉えるか。

あれだけ戦った彼女たちには間違いなく後者。泣きたいのは選手たちだ、と母は平然を装うけど、
目を真っ赤にするお母さんたちを見ると、それにもらい泣き。出来ることといったら
手が腫れるほどの拍手を送り、これから続く地区大会を応援するのみ。

「あーあ、どっと疲れたよ」

帰宅してエアコンのよく聞いた部屋で、母はハンモック、2号はソファでゴロゴロ
しながら、2番の気持ちを存分に味わいながらゴロゴロしていた。

「優勝だったら疲れもふっとぶんだけどなー」

あ、そうなんだ。きっと優勝ドーパミンみたいなものがどばどば出て、疲れとか痛みなんて
忘れられちゃうんだろうな。若いし(笑)

母も同じ2番の気持ちを味わってます。こんなにも拍手を送ってるのに、
こんなにもいいゲームだったのに、あと少しというところで残る惜しかった気持ち。
時計を巻き戻したい気持ちと、受け入れるべく現実がうまくかみ合わず、それを
処理することで全てのエネルギーを使っている気がして、今だまだフワフワしています。

それでも、自分では見ることができなかった景色に、子どもが連れてきてくれたのは確か。
2番の気持ちってのを、人生で初めて知ったかもしれません。

そして、決勝戦という大一番の舞台を一緒に味わせてもらったこと、応援させてもらったこと、
学校の先生や他の部活の部員や保護者、子どもたちに関わる全ての人が集まって、
アウェイな会場のくせに、甲子園みたいな一大応援団でお祭りみたいに盛り上げたこと。
全てが母にとってキラキラした青春の1ページ。

引退まで、残された時間はあとほんのちょっと。手が腫れるくらい拍手して、恥ずかしげも
なく大きな声を出して応援してやるんだから。

7月8日 ニホンコン

ニホンコン

(毎週火曜日更新)
北京と香港に住んでました。今は湘南に住みながら中国語や異文化の先生をしています。ちなみに3人娘のおかあさん。

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