体験入学のススメ。

おはこんばんちは。飯塚です。

6月になりましたね。という事はこのブログ書き始めて6年目なんだそうです。

2020年、ちょうどコロナの「ロックダウン時」にスタートしたのでした。

あの頃、海外旅行も日本一時帰国もできないどころか、学校もずっと休校だったんだよなぁ、アイルランド。

5年前と同じ季節、私はまたエルダーフラワーでコーディアルを作りました。

エルダーフラワーとレモンと大量の砂糖でシロップを作ります。炭酸水で薄めて夏の間飲みますよ。

我が家の5年生児、日本の小学校に行くのは今年で3回目。

日本の一時帰国から戻ってきて2週間の先週末、息子は寂し気に

「今日、◯◯小学校は野外活動に行ってるんだよね」と呟いた。

私も内心気が付いてはいたけどあえて言わなかった。でもそうか、やっぱり気になっていたか。

日本で体験入学した小学校では5年生は5月末に一泊二日の野外活動に行く。周りがその話題で浮き足だっている中で、息子は除け者みたいな気分を味わっていたんだろうな。

ごめんね、仕方ないのよ。とは私も何度か伝えたけれど。

それでなくとも息子は日本の小学校が好きでアイルランドに戻ってきたくない、と連日放課後も可能な限り友達と遊んだ。

今回の体験入学は運動会でフィナーレ。楽しくてよかったね。

二年生の時に三週間ほどお世話になった「体験入学」で日本の小学校が大好きになった息子1号。

二年前は10月から3月まで半年間、小学校に在籍。

私は初めの三週間だけ一緒にいて、後のお世話は私の両親にお願いした。半年間、日本の小学生を体験した9歳児、全然アイルランドに戻ってきたくなさそうで遠くで待つ母は嬉しいような、「それ、どうすればいいの?」と複雑な心境になりました。だって本拠地はアイルランドですからね。

在外邦人にはそこそこ知られている「体験入学」

私はずっと前から興味があり、是非とも我が子達にさせてみたいと思っていた。

一時帰国など出来なかったコロナ禍。やっと落ち着き始めた2022年秋に初めて日本の小学校に行って以来お世話になっている。

日本で周りに話すと

「え〜、三週間だけ学校行けるの?そんな受け入れがあるんだ!」と驚かれ

「いいねー。そんな事ができるなんて羨ましい」とも。

本当、羨ましいですよ、親の私から見てもそう思う。

親が熱望しても条件が整わないと出来ません。

ただ、海外在住組には知られている=誰もが利用している。

というわけでもない。

現に私の周りも利用している人は数人だけ。

たまーに会う日本人やInstagramで繋がってる日本人も興味はあるみたいで

「どんな感じ?どうやって申し込むの?」

とは聞かれ、全面的にポジティブなことを伝えてはいる。

だけれど、その度に「私はやらせてみたいけど出来そうもなくて…」に至る事が殆ど。

確かに、出来ない理由はある。

①せっかくの一時帰国=家族旅行、楽しいイベントや旅行で予定がパンパンで学校なんてスケジュール的に無理!

②アイルランドの長い夏休みに合わせて帰省すると日本も夏休みなので学校に行かせられない、というのもある。

ただ、アイルランドは6月下旬には夏休みになるので、こちらが夏休みになってすぐに帰れば7月中の学校には行けそうではあるけれど。

③親が仕事をしていたら帰省は2週間くらいが限度。学校には行く余裕はない。

④学校側が受け入れをしていない、という話もある。学校は「体験入学」児童を受け入れる義務はない。あくまでも校長先生の判断、任意。例えば日本語があまりわからない、授業についていけるか未知数の子を受け入れるのを学校が「リスク」または「負担」と取るか。補助の先生が必要な場合もある。その余裕がなければ断られるだろう。

⑤実家に家族で泊まるスペースがないためホテルやウィークリーマンション暮らしになるから無理。誰もが実家に帰れる、わけでもない一時帰国。住宅事情、家族の事情はさまざま。

⑥子供が絶対に行きたくない!と言い張るから無理強いできない。本当に人見知りで知らない環境に拒否反応を示す子もいる。ましてや慣れない日本語、知らない世界、ハードルが高い。

⑦子供が日本語を上手く話せないから行かせられない気がする。という不安。そもそも、我が子達も普段は日本語は話さない。授業についていけるのか?!

学校側が受け入れてない場合や、滞在先の問題はどうしようもない。

幸い、私達は好条件が揃っていた。実家に滞在でき小学校も歓迎してくれ、子供達は人見知りをしない。

私の父が今現在は町内会の仕事をしていて小学校と繋がりがあるのもありがたい。連絡をする教頭先生には「毎度お馴染みの」的な対応をしていただいているのも安心材料の一つだ。

特に体験入学を知った時、息子一号は「やりたい!日本の小学校に行きたい!」とすぐにポジティブな反応を示し、実際に体験したら「アイルランドに帰りたくない」くらいに日本の小学校を気に入った。

ただ、息子二号は違った。

二年前に日本の幼稚園に行き、それはそれで楽しんだけれど、「大好き」レベルではない。

そもそも息子二号は日本語があまり得意ではなく、日本に滞在した時以外に日本語を発した事がない。

日本語に対して不得意な意識があるからか、今回の「初めての日本の小学校」にも消極的で行きたくはなさそうだった。

あたらしい世界を覗き体験して欲しい。

それでも私は時々説得を試みた。

「勉強をしに行くんじゃないよ。友達をつくりに行くんだよ。学校の施設もいいし、お友達たくさんいるし、給食もアイルランドより美味しいよ」

日本の小学校大好きな息子一号が加勢してくれたのは助かった。

息子二号は考えた。

もし、学校に行かなければ。

ずっとゲームやYouTubeを見ることも出来ないし退屈だろう。お兄ちゃんは学校で友達と楽しい時間を過ごすのかな。自分だけつまらないのは嫌だな。

渋々でも、学校に行ってみるか。

その気にさせるためにランドセルもAmazonで注文。10,000円位な一番安いので我が家は充分。

形から入ればモチベーション上がる。

なぜ「体験入学」させたいのか。

それは彼らが日本国籍を持っているし日本の文化を体験させたい、以上に「自分達の生活と違う世界」に触れて欲しい、という方が強い。

我々はアイルランドのど田舎暮らし。村人全員知り合い、みたいな狭いコミュニティーにいる。

その中にある小学校。二学年が一つの教室にいる小さな学校。全児童は8学年で総勢100人くらい。

アイルランドの学校は日本の学校の設備とは程遠い。

子供達に日本の小学校を試して欲しい。

割と街中の、大きな小学校。

理科室、大きな体育館、図書室、音楽室、調理室、保健室、プールもある。

2022年、初めて来た時に先生に校内を案内していただく。図書室、アイルランドの学校にはないんですよ。たまにバスの図書館が学校に来てくれます。

学校で靴を履き替える、とか、校歌を歌う、ラジオ体操というのがある、給食センターから給食が届き自分達で配膳をする、日直がある、怪我や具合が悪くなれば保健室に行く、下校前には掃除もしなければいけない、なんて彼らには初めてばかりのこと。

日本で先生が男性なのも嬉しかった理由の一つ。アイルランドの先生はなぜか女性ばかりです。

普通ならば何十万もかかる「留学」が「体験入学」らならば「給食費1日290円」だけでできる、ってすごくないですか?

「体験入学」のために日本語力を鍛えてます。

日本人が周りに一人もおらず、普段家で私が彼らに話しかける時だけが唯一の「日本語タイム」な我が家。

子供達の会話は全部英語。ちなみに日本にいる間も子供同士は英語を話している。

日本語を維持しよう、というモチベーションを高めるのは今や「日本の学校に行くから」が一番となった。

基本的に怠け者、子供達に常に気配りができるタイプでもない私なのだ。日本の学校にお世話にでもならなければ、もっと日本語に対しておざなりだっただろう。

息子一号は元々3歳からやっていたこどもちゃれんじでひらがなとカタカナはマスターした。体験入学したい一心でひらがなから漢字をドリルでコツコツとやっていた。

次男もDuolingo でひらがなとカタカナをマスターできたのも、全て「日本の学校に行くための準備」だった。

アイルランドで準備や漢字ドリルをしていても、日頃日本語で読者もしない五年生の長男。

語彙量もないし読解力は怪しい。毎回日本に行く前は「楽しみ」と同時に「不安」にもなる。

それでも今回は特に二年前に半年間一緒にいた友達に会える喜びも後押しした。

友達に会える、また学校に行ける、期待と僅かな緊張。

新一年生の息子二号「みんな学校始まったばかりだから一緒だよ」と励まして。

初日は表情も少し硬かった男児達。

友達と温かく見守ってくださる先生方のお陰で18日間の学校生活はあっという間に過ぎ、次第に

「アイルランドより日本の小学校の方がいい」

と口を揃えた。

あ〜、またコレか。本拠地はアイルランドだからさぁ、それもまた困るわけよ。by母ちゃん。

行く前はいつも案じてしまうけれど、本当に産むが易しなんだよな。

子供達がいつも成長を見せてくれるありがたい「体験入学」。

アイルランドでコツコツ鍛える日本語も三週間日本の学校にいるだけでいきなり伸びその成果も目を見張るものがある。結局、お友達のいる環境には敵わないのだ。

友達家族と一緒に行った科学館、楽しかったねー。

海外在住の日本人の方、条件が整えばぜひお試しください。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。

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引き続き時に役に立たない日々のことをお楽しみください。