「離れる日」まで。

おはこんばんちは。飯塚です。

アイルランドに戻ってすぐに発熱しました。

まぁ無理もないか、日本でもずっと忙しくて飛行機移動も気が張っていたし、休めって言う事だよねー、と久しぶりに約三日間をベッドで過ごしました。

回復したら家族全員に移りました。あーあ。やっぱり長旅の後は何かある。

5歳児、ほぼ風邪は回復したけど念の為学校はお休み。近所のファームカフェで一息。

昨年の体験入学時はこの未来は想像できなかった。

最近、今までになく毎日日本時間を思います。

時差は9時間。日本が早い。

わかりやすく例えるとこちらの昼12時は同日の日本の夜9時。

夜10時頃だと「今頃、起きたかな」

昼間は「ご飯食べたかな」や「学校は終わったかな」

誰の事かと言うと、我が家の息子1号9歳。

彼は私達とアイルランドに戻らず、日本の小学校に通うために私の実家に残りました。

昨年秋に日本の小学校で体験入学した彼。

昨年の体験入学の初日。

とにかく最高の一言に尽きる素晴らしい日々で。

先生にもお友達にも恵まれて、毎日楽しすぎて給食はおいしいし、3週間は短すぎてアイルランドに戻りたくない、なんて嘆いていた程。

アイルランドに戻ってからも先生やクラスのみんなからも何度もお手紙をいただき、こちらも返信して文通のようになっていた。

返事をいつも律儀に下さる先生と友達にバレンタインカードを。

今年春、彼のその想いを考慮した私の両親から「そんなに日本の学校が好きなら半年間通ってみる?」と提案がきた。

いくら孫が可愛くても半年預かる、というのはそうそう出来ることではない。

子育てを20年以上前に終えた夫婦は自分達の生活ペースがもう出来ている。

そのなかでまた子供を持つのは一苦労だ。

また、私や弟達が通った小学校とはいえ、公立校ゆえ顔見知りの先生もいない。

そんな中で「海外から孫を預かる」事をしようとしている。

ありがたい事だ。

きっとこの機会はもうないかもしれない。

私の両親の年齢や、体力面を考慮しても。

息子も自分の事は一通りできるし何かあれば大人に報告、相談はできる。日本語は拙いけど、彼なら大丈夫。

勉強も漢字や日本語問題は既に日本人に着いていけるレベルではない。もっと高学年になれば、同級生と同じ教室で勉強するのは不可能だろう、と思う。

複雑な漢字をマスターするのも至難の業だ。

「チャンス」は逃すべからず。

彼が日本で短期留学をする。このチャンスはきっと今だけだろう。

彼がちょっと及び腰になって、いや、でも今年は勇気がないから来年にしたい…などと言ってもその保証はない。

何より勉強はもっと難しくなってしまう。

私の親が元気かどうかもわからない。

親離れ、子離れの準備は出来てないけれど、私たちはこれでまた成長するんだな。

などと考える。

息子に

「日本で10月から3月まで半年勉強する?おじいちゃんとおばあちゃんの家にあなた一人で住むんだよ?」

と聞くと予想通り勢いよく二つ返事。

学校にまた行ける!お友達や先生にもまた会える!という喜びしかない様子。

日本の小学校の校長先生宛にまた私から手紙を書き、受け入れの返事が来てから、息子は楽しい事しか考えられない。

前回いたのはたった3週間。きっと最後までお客様扱いでチヤホヤされたんだろう。

日本語が多少拙くても、授業についていけなくても大目に見てもらって。

でも半年となると、きっと周りの反応が違うはず。

日本語や勉強についていけなくてからかわれたり、いじめられたりするかもな。

などという心配事が頭をよぎるのは私だけか。

9歳児はそんな事はまるで考えない。頭の中はバラ色。輝かしい未来しか想像できない。

子供だもんな、もちろん、それでいい。

方や、5歳の次男はしばらく荒れた。

二週間ずっと不機嫌の極み。

なんで、お兄ちゃんばっかり。僕だっておじいちゃんもおばあちゃんに愛されてるのに。

そうだよ。あなたも愛されてはいる。けれどもあなたはまだ幼い。私達なしに半年日本にはいられないのよ。

とはいえ、5歳児は別に半年間日本に住みたいわけではない。

アイルランドの友達はどう思っているのだろう。

いつも遊ぶお友達。

6月くらいから息子は学校の先生や友達、ご近所さんや親戚に嬉々として日本の学校に編入する事を話す。

息子はアイルランドの学校が嫌いな訳ではない。特に長い夏休みの後などは友達に会いたくなり、学校に行きたくなる。

学校の友達と参加した今年のセントパトリックスデーパレード。そうか、来年のこれは出られないんだな。

そんな学校の友達にも興奮気味に「三月まで日本の学校に通う」話をすると友達からは、

「この学校が嫌なの?なぜそんなに日本の学校に行きたいの?」

と聞かれる。

「嫌いじゃないよ!この学校も君たちも大好きだよ」

「じゃあ、なぜ日本の学校になんか行く必要があるんだよ?行かなくていいじゃないか」

「アイルランドの学校もいいけど日本の学校もいいんだ。それに日本の学校に長く行くチャンスは今しかないかもしれないから僕は行きたいんだ!」

アイルランドの友達には、息子が日本の学校に行きたい訳がわからない。現状に不満がある訳ではないのに、なぜ他所に行きたいの?

そんな友達からの質問に息子は答えらたのだろうか。たとえ本人はそのつもりでも、彼の思いは友人には理解できないだろうと思う。

特に9月に新学期が始まってからは友人達から

「やっぱり行くのやめたら?」

などと言われたりもした。

小さな小学校。ありがたい事に息子はお友達に好かれているらしい。

半年間、それは長い。でも長いようで実は短い。

彼はそんな風に友達に話した。

大丈夫、すぐ帰ってくるよ。と。

9歳児、成長せざるを得ないはず。

彼の日本行き、元々は私の夫が強く賛成していた。

昨年の体験入学を終えて、夫は

「日本に一年か半年いられたらいいのにね。日本語も上達するよ」

などと常々話していたのは、私の夫の方だった。

しかし、この話をご近所さんや友人、ママ友、いわゆる大人の人達に話すと

「えー、そんなに長く行くの大丈夫?」

の後で

「でもそんな体験ができるなんて素晴らしいわね。半年間で精神的に一気に成長できるわよ。すごい決断だわ」

と言われる。

特に同じ年頃の子供を持つ親ほど、

「子供は成長できるよね!すごくいい機会よ。」

と。

これは私達がいくら切望したところで、受け入れる側がいないと成り立たない。

子育てをとうの昔に終えた老夫婦が、幼い子を預かるのはまた大変な事だ。

ありがたい。

賑やかな我が家から老夫婦の静かな家に行く。我が家では5歳の弟と喧嘩が絶えない。それに痺れを切らして私もしょっちゅうぶちぎれる。

うるさい家。でも兄弟や隣の子達と遊んでいる日常。日本できっとホームシックになるだろう。

いつも遊ぶ隣の子達もめっちゃ寂しがるぞ。

そんな事も彼には想像できるかな。

息子は言う。

「クラスのエリックは四年間もお母さんと離れて生活してたんだ。お父さんとお兄ちゃんだけとアイルランドにいて、エリックのお母さんと弟はアフリカにいて離れ離れだったんだよ。だから僕は寂しくないよ。半年なんてすぐだよね」

息子の級友のエリック。ナイジェリア人の彼の話は私もずっと聞いていた。世の中には色んな事情で離れ離れになる家族がいる。

そんな人たちの存在は、9歳児を勇気づけているようだ。

しかもこれはポジティブな、本人の希望からの生活だ。

絶対に、大丈夫。

日本行きも、もうすぐだ。

長いので次回につづきます。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。

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ゴビ砂漠を走るレース「GOBI MARCH」で、隔週水曜担当の若岡くんが優勝しました。世界チャンピオンおめでとう!苦しくも楽しそうな様子がページから見れます。