Bittersweet journey.(Before bitter 編)

おはこんばんちは。飯塚です。

先週土曜日早朝発、月曜日午後にアイルランドに戻る旅をして来ました。

フランス旅行をする日本からの友人がパリに来るタイミングで合流。

振り返ると、今まで一番一緒に旅している人。

飽きっぽく転職が多かった独身時代。

ある会社にはたったの10ヶ月しか籍を置かなかったのだけど、彼女はその会社の経理さん。

名前を出せないのでUさんとします。

会社にいた時は二人でご飯など食べに行った事などなかったのがなぜか私が退職してからUさんとの交流が盛んになり、あちこちご飯を食べに行ったりするように。

で、12年前に旅を始めた際、まずイギリスからアイルランドに行くのは決めていたのはUさんが

「ねぇ、アイルランド行かない?私友達がダブリン住んでるんだけどまだ会いにいけてないから一緒に行こうよ!絶対だよ!」

と前のめり気味に提案したからだった。

先にアイルランド入りしていた私がダブリン空港で彼女を出迎え観光したのだった。

若い頃からずっと一人旅ばかりしていて友達と異国の思い出があまりない私。

別にスナフキンみたいに孤高な人でもない。

ご飯は友達と食べた方が食が進む。

Uさんとあれこれずっと話しながら食べたり飲んだり歩いたりするとあっという間に時間が過ぎる。

アイルランドで飲むギネス、味も別格。

とにかく気遣いの達人なUさん。優しいけど観察眼が鋭く、毒舌なのも彼女の魅力。

旅好きなUさんは7年前にもアイルランドの我が家にお友達と泊まりにきた。

その時初対面だったCさん。彼女も飄々とした素敵な方で、その時は3人でレンタカーをしてキルケニー、ダブリンを二泊三日した。

孤独MAXな生活をしている私にとってこの旅は全ての瞬間笑い続けていたんじゃないか、と記憶している。

遠くて地味なアイルランドに来てくれる友達は殆どいない。

トリニティカレッジの図書館は必見です。

Uさんとは帰国の度に必ず会う。だけれどだいたい子供達を連れて上野の科学博物館や動物園だ。

気遣いのUさんは毎回重い荷物を持って現れる。その中身は子供達に「お菓子のお楽しみ袋」

男児達は目をキラキラさせて喜び、あれこれすぐ開けて食べ始める。

私もアイルランド土産は一応持って行くけれど、Uさんのお土産にいつも負けてしまう。

前々回の帰国。上野の科学館にご同行していただき、お土産をもらって喜ぶ男児たち。

だけど、本音を言えば私はUさんと二人で会って大人だけの会話をしたい。

そんな私に昨年

「ねぇ、来年夏フランス行くから来ない?アイルランドから近いから会えないかな?」

などと誘惑が。考えるまでもなく二つ返事で

「行きます!行きます!パリならI時間ちょっとで着くから日本で言う国内旅行みたいなもんです」

それからどれだけこの時を待ち構えていたか。

アイルランドで友達とご飯食べたりお茶すらしに行く事も殆どないけどもうそれも別にいいや、と思う。

やっとこの日がやってきた。

飛行機は土曜日朝5時50分発。

夫に空港に送迎してもらうより自分で行く方が気が楽だな、と空港の駐車場に事前予約をしておいた。

睡眠時間は2時間。朝3時に起きて3時40分に家を出た。

夏至が近づいているこの時期。

朝4時前で西の空は既に薄いオレンジ色に染まりつつある。

飛行機は定時で運行。I時間強で到着するのか、アイルランドからパリはやっぱり近い。

そうだよ!パリのパン屋といえばPAULだよねーー!!と空港で一人で気分上がった。

先月末から南仏を旅するUさん。パリのリヨン駅に到着予定は今日の6時近い。

ほぼ1日一人フリータイム。

パリといえば、蚤の市、骨董市。

骨董市で有名なクリニャンクール、あまり治安がよくないのは有名だけれど、以前行った事がありとても印象に残っている。

やっぱりまた行きたいな、と脚を向けた。

駅を降りてスマホの地図をなんとなく辿り目的地に向かう。

目的地直前。反対側の歩道は露天が歩道を占領し黒人ばかりの人だかり。

ゴミなのか古着なのか判別不能な物があちこちに落ちている。あ、ヤバいところ来てしまった。早くここから抜け出さないと!

この反対側の歩道は尋常ではない雰囲気すぎてカメラなど向けられない。久しぶりに「怖い」と思いました。

向こうの歩道のカオスぶりが怖い。長旅をしていた時ですら、こんなに身の危険を感じる事はそれほどなかった。

早歩きでその場を抜けると露天の通りに出た。黒人だけが占拠する通りの屋台。

おそらく殆ど盗品や偽物なんだろう。

写真など撮れない。早くここから出たい。

早々と通り過ぎると次は一応骨董市に。とはいえ、ほぼガラクタとしか形容しようのない店が続く。

この人形やぬいぐるみ、どういう人が買うのかちょっと興味あり。

そこをもっと歩くとようやくアンティークの店に辿り着く。

店主も客層も雰囲気もガラリと変わる。

いきなり高級感出てくる陳列。

はぁ、良かった。到着!!

陳列物を見れば見るほど、店のクオリティの違いに気付かされる。

路地大好き人間です。

目の保養になるなぁ。

歩き続けるとアンティークに限らず、ギャラリーのような現代アートやインテリアの露店に。

店の前で談笑するオーナー達の洗練され具合に目が奪われる。

どの店のオーナーもオシャレ過ぎる。今日はファッション雑誌の取材があるんですか?

この人たち全員雑誌に載るレベルですよ。別に特別イケメンでも美人でも若くもない。

それなのに、いちいち目を惹くこのセンスは何だ?

お店のオーナーの

「オシャレ番長がやってるオレ様のお店」ってのがマーケティングなんだよなぁ、なんて思わされて。

彼らのクローゼット、さぞかし素敵なんだろう。

オシャレな店主はある意味店の看板です。

洋服、ポスター、本、レコード、ジュエリー、アクセサリーのパーツ、ミリタリー系、古いおもちゃ、剥製、世界のお金、人形、家具、中近東のカーペット、日本のもの、食器。

何かしら欲しいものが誰でもあるはず。
このお皿、本当は欲しかったのに買わないで帰った。

迷路のように連なる露店の数々に吸い込まれてあっという間に時間が経つ。

あー、楽しいな。

本当はあれもこれも買いたいな。でも飛行機で帰るのだから買えるものは限りがある。

キッチンの棚用のお茶保管用のポットを探していたらちょうど良さそうなのが二つ。サイズを測ってどちらも購入。

お店のオーナーさんは

「二つ買ってくれるなら女性だから€10割引するよ!男性客にはこんなことしないけど。僕は女性だけが好きだから」なんていかにもフランス人らしいことを言われて思わず笑いながらも昔の苦い思い出がふと蘇る。

インドやタイ、ネパールを旅した後、初めてパリに来た時に骨董市でね、やってしまったんですよ、染みついてしまった値切りを。

だってインドをはじめとしたアジアではこれをやるのが常識だったんだもん。でもパリではやってはいかん。

店主の刺すような冷たい眼差しに気づいた時すでに遅し。もう心底軽蔑されたな、とハッとした。

本当に恥ずかしい、と思い、「ホントすみません。もう二度とパリの骨董市で値切りはやらない」と誓った。

そうか、こうして店主から言ってもらうのを待つのね。

屋内マーケットも。まじめに全部見たら1日じゃ足らない。

実はあらかじめ買いたい物リストがあった私。いくつかしっかり見繕って、荷物がどんどん重くなる。

あーお腹すいた。時計は2時近い。やっとお昼ご飯にありついた。

お昼ご飯はキッシュとビール。(味は普通)

レストランには日本人らしきグループが何人か。アンティークマーケットにも日本人の姿は見かけたけれど。

あるアンティーク店の日本人オーナーさんは

「円安になって日本人は本当に見なくなりました」と。

我が家にそぐわない高級品ばかり

また少しあれこれ見て、夫に夏用のシャツを購入。

パリに着いて早々、結構買い物したな。肩がずっしり重い。

レッドカーペット

さあ、地下鉄の駅に向かうかな。

また治安の悪いところを通らなきゃいけないな。時計は3時近い。

汗ばみながらまた雑踏に脚を向けた。

晴天の霹靂がこの後待っていようなんて、この時は知る由もなく。

というわけでBitter編、次週に続きます。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。