西の果てから東の果てへの空の旅記録。

おはこんばんちは。飯塚です。

時差ボケが約一週間かけてやっと治りました。

日本からアイルランドの便、今回初めてカナダ上空を飛行する東周りでした。時差ボケは回る方向が関係するらしいのです。確かに今まで日本からアイルランドに戻った時に時差ボケにはほとんどなったことがないのに、今回はとにかくなかなか日常に戻れなくて不思議に思っていたのですが原因はそれだったか!と痛感。
 私は良くても特に子供達の時差ボケを戻すのが大変でした。

怒涛のように過ぎていった40日滞在日本生活。

今回、夫はアイルランドにお留守番。

アイルランドにいる時から日本帰国の話を周りにすると「旦那さんも行くの?」と聞かれるので、「いや、私と子供達だけ」と答える度に、「えー、大変じゃない?大丈夫?」と。

これ、移動の事のみ意味しています。
ただ、うちの子達をよく知るママ友やご近所さんは「でもあの子達なら大丈夫よね。しっかりしてるし」という反応が殆どで。特に8歳の息子1号、面倒見がいいのは本当に助かる。

アイルランドから日本に直行便はない。

直行便って楽勝。搭乗さえすれば日本に運んでくれる。日本人が少ない西の果てにはそんなものはない。

アイルランドで日本人観光客が殆どいないのは、この航空事情も影響してるはず。

という訳で、だいたいロンドン乗り換えかパリ乗り換えが多いのですが、更に事態を悪化させたのがプーチン。ロシアがウクライナ侵攻して以来、ロシア上空を飛べなくなったのは在欧邦人には大打撃。

ヨーロッパから日本の航路は中東から中国周り、またはカナダから北極圏アイスランド周りになったそうで。以前より約4時間更に時間がかかる事に。

行きの移動、なぜか乗り換えがアイルランド→ロンドン→ヘルシンキ→日本。と2回も乗り換え。

合計23時間だそうで。あぁ、全然楽しみじゃない。

ロンドンのヒースロー空港。ヨーロッパ最大の空港。ターミナル間の移動はバス。しかもセキュリティの厳しさは他に類を見ない。

行きの飛行機はこの魔のヒースロー空港で乗り換え時間1時間半しかないのが最大のプレッシャーだった。

旅の数週間前から子供達には「ヒースロー空港ではしっかり私に着いてこなきゃダメだよ。ふざけたり喧嘩する暇ないし、はぐれても探す時間はない。トイレもアイルランドからの飛行機で済ませてね」などと口を酸っぱくして言い聞かせていた。

それにも関わらず、なんとアイルランドからの飛行機は出発に30分近く遅れたのだった。

ヒースローの乗り換え、約1時間しかないのか⁈

うげー、無理じゃん。マジで走らなきゃダメだな。

アイルランドから乗る飛行機のゲートで預けたベビーカーを待ちながら時計と睨めっこ。いつまで経ってもベビーカーは来ない。

ヤキモキしながら出入り口に待つ私達に、航空会社のスタッフが現れた。

「ベビーカー?ああ、それなら、預け荷物扱いになったはずだよ。」

えー?本当?いや、どうなんだ?半信半疑ながら、確認する時間すらない。

まず、乗り換えターミナルを探す。

赤児を抱え、手荷物を持ち、リュックを背負い、男児二人を引き連れて空港内を早歩き。

途中すれ違う人達の好奇の目に気付いてない訳ではない。

「うわー、あの人大変そう。子供3人連れて飛行機乗るなんて罰ゲーム?」的憐み視線。

そうだよね、私も一人旅してた時は子連れの人をそんな目で見てたよ。10年前。
やっとたどり着いたヒースロー空港の魔のセキュリティ。

ウゲー、すんごい行列。20人近い人の列が4列ほど。
あぁ、もうゲームオーバー。これにまともに並んだら乗り遅れる。失意の表情で立ち尽くす私に空港スタッフが声をかける

「どこ行き?何時の便?」
ヒースロー空港までのチケットを見せ、乗り換え便の詳細情報のスマホ画面を見せる。

「はい、じゃあこっちに来て。荷物ぜんぶトレイに置いて。」

三人子連れの罰ゲーム、ここで大逆転か。
うぁー!ありがたい!全ての列を飛ばして一番前にしてくれるスタッフの人達。

男児達に優しく声をかけてくれる。液体持ち込めないからオレンジジュースを慌てて一気飲みする男児達。
頑張れ、頑張れ。あと少し。

早歩きしながらも息子1号、

「ねぇ、ママ、この空港のスタッフの人達皆優しいよねー。」などと言いながらスキップする。実は子供には動き回れない飛行機から空港移動は苦ではない。

セキュリティのスタッフさん達のご配慮のおかげで無事にヘルシンキ行きの搭乗ゲートにたどり着く。

子供達を抱えて疲労困憊している私にゲート前のスタッフが笑いかける。

私たちが最後の乗客だったようだ。そりゃそうか。

ゲートにて搭乗手続き。

日本行きの確認もされ、コロナ陰性証明を提出する。これがないと既にここで搭乗できないのかもしれない。

ヘルシンキまでのフィンエアー、機体は新しくTVもそれぞれの座席についている。空席も多いのでゆったり座れて快適な空の旅。

飲食物は有料。とりあえずコーヒーをオーダー。フゥーっとひと息。男児達は移動用に用意していたスナックをひたすら貪り食べる。

まだまだ私達は大丈夫だ。でもまだ乗り換えもう一本あるのかー。

しかも最後は14時間の空の旅。長旅だなあ。とゲンナリ。
フィンランドのヘルシンキ空港。10年前の一人旅でアイルランドのダブリンからこの空港には来た事があるけれど、殆ど記憶がない。

この移動にてヘルシンキ空港、とても気に入りました。

広々とした空間にお店がいくつかある。

ヘルシンキ空港。この広々とした空間でしばし遊ぶ子供達。日本人の子連れ家族があちこちにいた。

ムーミンカフェ。ムーミンショップ。クリスマスのオーナメントの店。マリメッコ。

日本人はムーミン知っているから「ワー、ムームンコーヒーだって!」ってなるけどヨーロッパ人はムーミン知らないから多分なんのこっちゃだよ。
クリスマスのお店。店頭にあるフッカフカの毛皮にちょっと触ってみたくなるよね。

日本人の購買意欲掻き立てるラインナップ。

マリメッコ、いかにもマリメッコなカラフルなのは欲しくはないんだけど、渋いデザインと色味のは惹かれるんだよなぁ〜、と思いながら素通り。

ムーミン。実はヨーロッパの人は知らないんだよ、ムーミン。日本人って大好きだよね。

味千ラーメンもありましたよ。

お土産物店のスタッフさん、私を見るや「日本人よね?最近日本人旅行者が増えたおかげでやっと売り上げが増えたわ。この店の売り上げはほとんど日本人旅行者に支えられてるの。コロナの規制の時は日本人がいなくてこの店は開店休業状態だったのよ。」だそうで。
確かに、この空港のムーミンショップ、日本人らしき人しかいなかった。

ヘルシンキからはJAL便。ああ、ゲートから既に日本が始まってる。

何がってマスクです。
ここまでの飛行機2便、マスクは不要。

ヒースローでもヘルシンキ空港でもマスクしている人は一握り。
でも、JAL便に乗るときにはマスク着用義務。

あー、この感じが日本でずっとあるのかー、と微妙にゲンナリしてしまう。

JALのサービスは最高なんだけどね。

飛行機はびっしり満席。しかも殆どが子連れの日本人家族。

「コロナでしばらく帰れなかった在欧邦人家族のチャーター便」状態。

私の席は4人席だけど私の隣は後ろに座る家族連れのお父さん。

私の隣りに中年男性が座ってたら、そりゃ、夫婦に見える。
食事の提供時など事ある毎にCAさんに「旦那さま、」と言われるので、二人揃って「いや、ここ夫婦じゃないんです」
と否定し続ける14時間。

とはいえ、ドイツのベルリン在住の日本人男性氏、とても感じの良い方で、お互いの国事情の話で盛り上がりました。
男児二人、本日三本目のフライト。

さすがに嫌気がさしながらも、静かに映画を鑑賞してます。

特に8歳児は無問題。機内食も食べてるし眠くなったら寝る。

4歳児はこうはいかない。機内食は食べない。息子1号も4年前は機内食一切手をつけなかった。

機内のヘッドホンが大き過ぎてずり落ちるからイライラする。

あぁ、そうだった。本当にごめん。

日本にいる間に子供サイズのヘッドホン買うからね!

もう飽きた。

動きたい。

でも席についてないといけない。

眠いけど椅子に座って寝るのは嫌だ。

快適に横になりたい。
叫んだり大声で泣いたりできないから、声を殺して泣く。4年前の息子1号と全く同じ。

可愛そうだなぁ。一生懸命我慢をしてる。長すぎるフライトは苦痛だ。

ごめんよー。耐えるしかないんだよね。眠いよね、頑張って寝よう。

乗ってから結構経つのに、まだ8時間あるとか地獄。

直行便は楽勝。ただ乗ってるだけ、なんて思うのは間違いだった。

そして赤児、なぜかいきなり軽く嘔吐をする。

え?何があった?飛行機全然揺れてないけど。

拭いて着替えさせて、しばらくしたらそのまま眠りはじめた。1歳児私の腕の中で眠る。天使だな。
お隣りの男性が優しい眼差しで赤児を見つめる。

「ついついみちゃってすみません。可愛いから目を奪われますよねー。」

そうなんすよ、大変なんだけど、可愛いからいいんだよ。

夜のフライト、赤児はぐっすり眠る。

男児達も静かに目を瞑る。私もほんの少し夢の中。

赤児用にずっと「ライオンキング」をつけていた私の席のモニター、ちょっとだけテレビ番組も見られた。

残り2時間を切ると、やっと、もうすぐ感が出てくる。

4歳児は2回目の機内食も手をつけず。でももうすぐ着くし大丈夫だ。

飛行機、羽田空港に着陸。

うわー、やっと着いた。長かったなぁ。

と、その時。隣りから。

ウゲー。

息子2号、嘔吐。

えぇ〜?今吐くのかい!

機内食を一切食べず、水分だけ摂っていたのが不幸中の幸い。ほとんど水だけの吐瀉物で匂いもあまりない。

手持ち荷物の着替えを出そうとすると、深刻そうな表情のCAさんが2人がかりでビニール手袋をつけて現れる。
「お客様、大丈夫ですか?」と言いながら、たくさんの紙ナプキンをくれたと同時に

「最近、生きている豚や鳥に触れたりはしてませんか?」
「ありません」
「乗り物酔いはすることありますか?」
「そうですね、よく乗り物酔いで吐くんですよねー」

口から出まかせがするりと出る。

「体温測らせていただきます。また検疫に行っていただくかもしれません」

うぇー、本当ですか?検疫送りの刑。長旅が終わったかと思ったのに。こんな展開想定外過ぎる。泣きそう。
体温計は通常数値。

乗客が全て降りた後、最後にCAさんに連れられて機内を出る。

久しぶりの日本。羽田空港きれいだな。窓の外も快晴。日本語の看板と表示、ホッとする〜。

CAさんと世間話をしながら歩く。

コロナのMy SOSアプリ起動。チェックポイントにはたくさんのスタッフが。全て無事通過。

全てのコロナチェック終わり際、CAさんに、「検疫、時間かかるんですか?」と聞くと、「いえ。お子様たちの体温に異常がないので検疫は行かなくても結構になりました。」
なんだ〜、良かった!ってかもっと早く教えてよー。

パスポートチェックも通過。

荷物のターンテーブルにてスーツケースを取り上げる。
ベビーカーだけがいつまでも来ない。

ヒースロー空港に置き忘れパターンでしょ。ロストバゲージで有名なヒースロー。
というよりもね、ヒースロー空港で嫌な予感したんだよな。

「ベビーカーは預け荷物になった」のあれ、怪しいと思ってたよ。乗り換え時間に余裕ががあれば、もっとちゃんと確認したんだけどね。

JALのスタッフさんに確認すると、確かにベビーカーに関する問い合わせがヒースローからあると言う。

「ご不便をおかけして大変申し訳ございません。ベビーカーは後からお送りいたします。」

いやいや、ご不便をおかけしたのはJALさんではない。

アイルランドの航空会社の社員だよ。
それにヒースロー空港といえばロストバゲージのメッカやで。

へっぽこ他社のカバーをサービスに間違いないJALさんがしてくれるのは心強い。

さて、到着ゲートに向かおう!
アイルランドの家を出て、27時間くらい経ってる。

本当に頑張った。
ゲート外で待ちくたびれたはずの私の両親。私達の姿を見るや、満面の笑み。
約4年ぶりの再会。

それから40日、とにかく濃く楽しい時間を過ごしましたとさ。(詳細は過去ログにて)

追記:ベビーカーは後日無事家に配送され、子供用ヘッドホンも滞在中に注文し、帰りの便では息子2号も快適な空の旅となりました(とはいえ14時間の飛行時間は長すぎるけど)。

子供三人連れ空の旅は可能です。ただし、免税店でゆっくりお買い物、とか、飛行機内で食後のコーヒー飲んだり(JALさんは赤児連れには安全面を考慮して熱い飲み物提供なし)、映画見たりはできない。数年後、それらをまた楽しめるはず。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。