アイルランドでアイルランド産マグロを食す。

おはこんばんちは。

先週金曜日にストームが来ました。

気象庁のアプリ、国全部が真っ赤になるほどの警報が出て、全国的に学校休校、公共交通機関も運休、病院も救急のみ受付、などかなり警戒され。

幸い私の住むエリアは被害はあまりなく、スーパーも昼前には開店しましたし学校も休校にする必要なかったよね?レベルで済みました。

ただ、数カ所で倒木があり道路がふさがり、その写真がfacebookのコミュニティページには上がってきていました。

これ、写真を見たら日本人は「行政に連絡しなければ」などと思うんだろうけれど、ここではその意味で写真を上げてはいません。

「誰がお手持ちのチェーンソーとトレイラーで木を切りに来てね。薪は早い者勝ちダヨ!」

夫も薪を取りに行く気満々でストーム前日は友人達とのグループチャットで

「みなの者、チェーンソーの用意はいいか!?バッテリーのチャージも忘れてはならない!」などと意気込んでいたけれど。

結果的には近所や仕事場の道中に倒木がなく、チェーンソーの出番はないまま終わりました。

しかし、エリアによっては強風による倒木や屋根が飛ばされたなどの被害が多数出ており、未だに停電、断水を余儀なくされている地域がかなりある模様。

災害から一週間経ち、ニュースでもかなり時間を割いて復旧に関する事を報じている。

ありがたいことにEU諸国から電気工事の作業員が援助に来ているようです。1日も早く電気が戻るといいですね。

ストームでオーダーしたマグロが配達延期に。

その先週金曜日、実は我が家にはオンラインでオーダーした「マグロ」が来るはずでした。

Instagramでフォローしている西の港町ゴールウェイの魚屋さん、401㎏のマグロが釣れたんだそう。

実はアイルランド産マグロ、日本のお寿司屋さんにはお馴染みだったりします。

前回の帰国時にも羽田空港のお寿司屋さんに入り「アイルランドから来たんですか?アイルランド産マグロありますよ」と言われた。

ムール貝やホタテ、牡蠣、蟹、ロブスターなどの高級魚介類は国内需要がほぼない事もあり、外貨を稼ぐ輸出へと周る事が殆ど。

夫が寿司屋をやっていた時分、夏はこんなのをよく採りに行っていた。

せっかくアイルランドに住んでいてもマグロもホタテも牡蠣もなかなかありつけないのです。

アイリッシュと話すと

「魚嫌い」や「牡蠣って食べたことない。美味しいの?見た目が気持ち悪いから無理」などと頻繁に言われるので、人生何かと損してる人達だなぁ、と思う事しきり。

アイルランドの牡蠣、美味しいよ!アイリッシュは食べないのでアイルランドに住むフランス人とアジア人の胃袋に収まります。

そんなわけで普段ならゴールウェイ産マグロはそのまま日本に行くんだろうけれど、

「今回はトロなどをアイルランド国内で売ります!」などとフィードが上がり、買ってみました。

というのも、過去にもたまにマグロの写真が上がっていた事があり、その度にアイルランドに住む日本人がInstagramで「おうちお寿司」をしてる写真をアップしていたのがすごく気になっていたのです。

オーダーしたのは大トロ、中トロ、赤身、サーモン全てお刺身で食べられるクオリティー。

先週金曜日に配達予定だったのが、ストームの影響で配送不可能となり。魚屋さんからメールが入り、「来週月曜日発送、火曜日配達で大丈夫ですか?」となりました。

じゃあ、火曜日にお寿司を食べようかと思っていたら、配送会社から

「配達は夜6時から7時です」

というメッセージが届き、結局食べるのは水曜日に。

水曜日の夜といえば、息子はバスケの練習なんだよなぁ。私が運転して夕方5時には出かけて7時半近くに帰宅というスケジュール。

大トロ、中トロ、赤身、サーモンのお味はいかに。

届いた魚。サーモン、ポケ丼用赤身、中トロ、大トロ

仕方ない。元々お寿司は元寿司屋の夫がやる事にはなっていたから、まぁいいか。

夫は結婚後、日本のお寿司の専門学校に行き、東京のお鮨屋で一年近く働いた人です。写真は8年前。

全てを託して出かけ、帰ってきたら夕ご飯。

「やった〜、お寿司だ、お寿司だ🍣‼️」と大盛りあがりで帰宅した我々に夫は浮かない顔でで迎える。

「何?どしたの?魚あんまり良くなかった?」

「うん。匂いも新鮮じゃないし、大トロも中トロも筋っぽくて脂すごいしイマイチだなぁ。悪いけど期待ハズレでガッカリだよ」

「え〜、なんだ。そうなんだ。」

確かになぁ、見るからに筋っぽさはあるし脂もずいぶん多いな、とは気になった。

ちなみに夫はサーモンが嫌い。なので配達された魚ではマグロしか食べない。

それでもお寿司を握ってくれたので実食。

お寿司by夫。テンション上がる夕飯。

うん、サーモンは美味しい。

マグロはうん、確かに少し臭うなぁ。子供達は「噛みきれない」と言い、不評。

日本で出会う霜降りなトロではないのよね、残念ながら。

「やっぱりさ、一番いい部分は日本に行っちゃったか、アイルランドの日本料理屋に高値で売れてんだよね。売れ残りの良くないトロだけ国内に売ってんだよー」

2年前、アイルランドの日本食レストランで。これくらいのレベルのお寿司は食べられる。

「ま、それが流通の常識だよね。家で高級食材を手に入れるなんて不可能か」

子供達も疑問を投げかける。

「じゃあ美味しいトロは日本に行ってるの?」

「そうだよ!お金になるから良いのは先に売ってんだよ」

世の中なんでもそうだ。ダージリンの紅茶もキリマンジャロのコーヒーも、一番いいのはその土地では入手できない、と聞いた。

キリマンジャロ登山7日間コースに参加して下山途中に見た野生の猿の尻尾。顔は見ていない。
ダージリン急行電車にただ乗りする香取慎吾君(登場2回目)

ダージリンの紅茶工場で試飲したのは人生で一番美味しい紅茶だったけれど、いざお土産で買った紅茶はなんて事ない普通すぎる紅茶だった。

高茶畑で試飲した紅茶は最高なのに買ったら普通。多分買わないで帰るのが正解、または義理で1個だけ買う。(お土産買ったのを後悔している)

騙すために試飲用はいいものを、お土産用はランクが下の物を入れているのだ、という現実を思い知らされた。

ま、そんな世の中事情を子供達に教えることにもなり。

赤身も筋だらけでとても噛みきれない代物なので漬けにして細かく切り、巻き寿司にして翌日のお寿司に。

夫は「もう俺寿司はいらないわー」とセーリングクラブのミーティングに出かけたので私が巻き寿司を。夫が寿司業やめてから私がしょっちゅうお寿司巻いているので慣れてきた。

余った大トロと中トロは醤油と味醂、酒と生姜で煮て全て完了。

期待値が高すぎてちょっぴり残念だったけれど、子供達は楽しんでくれたからヨシとします。

日本で美味しいお寿司を食べたいです。

実家で毎回、出前を取ってもらう美味しいお寿司。ボタンえびとうにが最高です!!

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。