もしかしたら、一生気付かなかったかもしれない事。

おはこんばんちは。飯塚です。

気付けばもう二月半ば。

プリムローズが咲いております。

9歳の息子1号、離れて3ヶ月経ちます。

日本滞在中の我が家の小学三年生の息子1号、折り返しはとっくに過ぎて、あと一ヶ月半でアイルランドに戻ります。

アイルランドではなかなか降らない雪体験もできて幸せ。

年末はお餅つきも我が家でやってもらい、お正月、スケート、たまに映画なども連れてもらう高待遇ぶり。

餅つきの後は鏡餅作りもお手伝い。

とはいえ、三週間前には目に異変がでて。眼科に行くと何も異常はなく、環境の変化によるストレス、と診断されたそう。

9歳児、すき焼きをとてもお気に召したようですよ。霜降りのお肉なんて子供には早すぎる!!

基本的にはとても楽しいみたいだけれど、特に冬休みと先週はコロナに罹ったので友達とも会えずに退屈だったはず。

それでも、週に何回か話す会話で「寂しい」や「帰りたい」と言った事はない。

時差9時間の隔たりがあっても私は心配していない。

おじいちゃんおばあちゃんに可愛がられて三人で楽しく生活している様子を見るにつけ、ありがたいな、と感謝しかない。

彼はなんてラッキーなのだろう。といつも夫と話している。

私も夫も周りの人皆、元々は残される息子2号を心配していた。

いつも一緒に遊ぶ男児二人、2号は常に1号を追いかけている。

喧嘩をしても1号の後をいつもくっついている弟。なんだかんだ言っても大好きだよね?!

ご近所さんも友人達もほぼ全員、

「お兄ちゃんがいなくて寂しくて毎日退屈でしょう」

と聞く。

ですよねー、そう思われて当然だ。

私達夫婦も息子2号は「寂しがって荒れるんじゃないか」ってその心配しかしてなかったのだから。

いやー、私、まだまだ未熟者でした。子供の心理などまるで理解などしてなかったのか。

「思ってたんと違う」

確かに別れる前から「いなくなっても寂しくない」とは宣言していたけど。

息子1号と離れた日から、息子2号は荒れるどころかそれまで見たことがないほど落ち着いている。

また、末の妹に構うことはなかった今までと変わって、今はずいぶんと面倒見がよくなり遊んであげている「優しいお兄ちゃん」に変身した。

優しくいつも構ってくれる一番上のお兄ちゃんが大好きだった末っ子も今は一緒にいる二番目兄とキャッキャッと楽しそうに遊んでいる。

この週末はビニールハウス掃除を手伝ってくれました。

私と夫は半ば面くらいながら呟く。

「息子2号って優しくていい子だったんだねぇ…」

この三ヶ月、夫が言い続けている。

「あいつ、1号いなくなって素直になってまるでエンジェルだな。そんな風に感じた事、前は全然なかったよなぁ」

息子2号、実は家庭内では癇癪ばかり起こし、10分に一度は叫び声をあげていた。

屁理屈と理不尽な理由を捲し立てながら息子1号を責める。

たまに殴ったり蹴ったりもするものの、やり返されたら自分が更に痛い目に遭う。

叫び声を出したり1号を殴ると母親(私)からは一日に何度も叱られる。

ほぼ毎日これだった。

「真ん中っ子の苦悩」を考える。

生まれた日から競争相手がいた二番目。

3歳上の兄貴には、今は何をしても勝てない。

ゲームもサッカーも、本を読んだり、絵を描くのも兄貴は上手く自分は下手だという現実が受け入れられない。

サッカーボールに追いつけず、叫び続けた挙句に悔しがりながら松の木の下でうずくまりながら涙を堪える。

もうやりたくない!

でもやりたい!

兄貴に一度くらいは勝ちたい!

ちなみに。息子1号は基本的には優しく、出来ない2号をバカにしたりはしない。

私たちもいつも言い続けていた。

「3歳違うんだからお兄ちゃんの方が上手なのは当然だよ。」

と。

でも一番になりたいのだ。

そのジレンマが毎日彼を苛立たせてせいたなんて、知る由もなかった。

息子2号は友達とは喧嘩をしない。いつもニコニコ笑う彼は表では評判がいい。

学校の先生も褒めてはいた。

「凄くいい子ですよね」

と。

「家では息子1号と喧嘩ばかりで叫んでます」

と私が言うと先生は不思議そうな表情で

「誰が叫ぶんですか?」

と聞く。

「息子2号ですよ」

「まさか。学校では友達と喧嘩なんてしたことないですよ」

今度は私の方が面食らってしまった。

確かに友達とバーベキューや誕生日パーティーで大人数で遊んでも喧嘩したり泣いたりしたことないなぁ、と思い出す。

他人がいると喧嘩はしない男児たち。

めちゃくちゃ外面がいい2号にある日1号が問い詰めた事もあった。

「あんたさ、学校でも友達の間でもいい奴風なのに、なんで家では常に喧嘩腰なの?」

「学校では頑張ってるんだよ!だから家では頑張らない!!」

むむむ、5歳児にこんな風に叫ばれたら親はなんて返すのが正解なのか。

とりあえず、もっと頑張れ。とは言ってはいけない気がした。

2号の内なる葛藤、恐らく本人も言語化出来ないだろうし、長子であり下の兄妹は異性の私たち夫婦にも未知の感情。

ここ三ヶ月、お兄ちゃんとの競争が無くなり、息子2号の表情までも心なしか穏やかになった。

叫び声も私の怒鳴り声もパタリと消えた我が家は以前より平和だ。

「問題点」がわかったものの。

夫とは、2号の新たな一面はもしかしたら一生気づかなかった事だとも話している。普通、小学生で兄妹や家族が離れ離れになる事はないのだから。

世の中の殆どの家庭は、「仮に兄弟がいなかったら」を体験するチャンスなどない。

離れた事で子供達の知らなかった一面を知ることができた私たち。

知る事はできたけれど。

どうすればいいの?

この問題点は「誰も悪くない」という事。

誰にも非はなく、ただ、相性や関係性に問題がある。

家族は三月末にはまた一つ屋根の下に暮らす事になる。

日本で一人っ子生活を満喫している1号も、電話で最近やたらと 「息子2号と同室はもう嫌だから別の部屋にしてほしい」と言うようになったし、私の両親にも「弟と同室は嫌だ」と愚痴っているらしい。

部屋を急遽作り替える経済的、時間的な余裕はない。

息子2号は2号で、「今のままで楽しい」なんて言う。

もちろん、親としては息子1号が帰ってくるのは楽しみだし本当に嬉しい。

帰ってきたら成長している分だけ以前と違えばいいのだけれど。

男二人兄弟の葛藤。

無邪気に転がって遊んでいた時代。

よくある話なんだろうか。

みなさんどうしているのだろう。

親力を試されてるな。

解決策をご存知の方おりましたら、どうかこの未熟者の母にご教示ください。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。