鶏さんのいる生活。

我が家では2019年5月から鶏を6羽飼っています。
卵を産んでもらう為なので雌のみです。
(朝けたたましく鳴くのは雄のみ。近所迷惑になるので飼っていません。)
一応名前もついています。
Porched, Fried, Boiled, Scrambled, Omlette, Tamago. 
ノリで卵の調理法から名前をつけました。が、正直言ってわたしには全く見分けがつきません。
彼女らが来たばかりの頃は一番大きくておてんばさんなのがPorched だったはずですが、今やそれすら判別不可能。

鶏柵は数ヶ月おきに庭内で移動して鶏のフンを家庭菜園の肥料にしている。

そりゃ、外に出たいよね。

性格の違いみたいのもあります。好奇心旺盛なの、慎重派さんだったり。家に来て始めの数日はその違いが顕著でした。新しい環境にすぐに慣れて外に出る子、かたや2日間鶏小屋から全く出ない子。
彼女達は絶えず脱走を試みます。一応柵の中はそれなりにスペースを確保していますが、やはり広い庭を駆け回りたいらしく。
今までも何度となく柵の隙間を見つけては逃げ出し、時には隣人の庭まで行ったりもしました。
去年はたまには庭で野放しにした事もありましたが、虫を獲ろうとあちこちをくちばしでつつき、脚で掘り、作物は荒らされてしまいました。庭の野菜は夫が丹精込めて育てている為、今年は柵外には出しません。

我が家に来てすぐの頃。脱出したおてんばのPorchedを捕獲。

犬よりお世話はたぶん楽。

鶏さん、お世話は実に楽。
朝、鶏小屋の戸を開けて餌と水をやる。日中は卵取りがてらたまに餌と水がなくなってないか確認。
日が暮れたら鶏は勝手に小屋に入るので戸を閉めて餌を片付ける。外敵がいなければ戸は開けていても大丈夫なようですが、ここの場合野生のキツネに食べられる恐れがある為夜間は小屋を閉めています。
ちなみに彼らの体内時計は日照時間と関係しているので、今は夜10時近くまで外にいますが冬は5時くらいには店仕舞いします。
あとは週に一度、鶏小屋の掃除。
それだけで毎日一羽につき卵を一個産んでくれるんです(冬は生産性が若干落ちます)。

ちょうど産み終わったところで回収。産みたて卵は温かい。

やっぱりTKG(卵かけご飯)だよ!

The TKG.これぞ新鮮卵の黄金の一品。でも、やっぱり糖質制限しないとダメなんすか、ムトーさん。

新鮮な卵、本当に美味しいです。
こちらでは生の卵は衛生上の観点から食べないほうがいいと言われており、私も卵かけご飯はそれまで食べたことなかったですが今はかなり頻繁に食べています。
こんな美味しいものをアイリッシュの夫や子供達は絶対食べませんけどね。
生卵はアイリッシュ的には気持ち悪いらしいです。
新鮮な卵は食感からして違います。硬いというかしっかりしてます。
お菓子作りの卵黄と卵白分けるのが難儀ですが。卵白がなかなか剥がれてくれないのです。
毎日6個増えるので夫の寿司業の卵焼きにも使いますし、私もケーキやプリンをたまに作ります。
また、人に何か頂いたりした時にお礼代わりに卵を差し上げたりもできて便利。昨年の6月頃以来、卵を買ったのは大晦日に一度だけ(おせちの伊達巻を作っていた)。

実はプリンはアイルランドではあまり一般的な食べ物ではない。スペイン、フランス辺りのデザートのようです。

ダイエットの味方です(でも痩せないのはなぜだろう…)

我が家の2歳児はまだ食事の際に食べたり全く食べなかったりでムラがあります。
もったいないおばけ世代の私はこの食べ残しを捨てられない(若い子は知らないよね、もったいないおばけ)。
なんか、ついついつまんでしまうんですよ、子供の残飯を。
しかしながらこの残飯はエネルギーになるどころか、中年女性には単にお腹と背中の贅肉になるだけ。なんも生み出さない。
ところが何ということでしょう。鶏さんは卵を産んでくれるんですよ!
もう子供の残り物を食べなくても捨てなくても罪悪感ゼロと気付いた時に鶏さんに更なる感謝の念を抱きました。

残したはずのパンの耳をなぜか鶏の前では食べるイケズな二歳児。(この後ちゃんとあげるけど)

彼らはペット?それとも家畜?

実は私、鳥が元々苦手でした。公園で鳩に餌とかあげません。
鳥の目とかくちばしとか脚とかちょっと気持ち悪いなぁ、と思っていました。なので、鶏が来て始めの頃は触るの無理でした。
我が家の長男(当時4歳)の方が初めから抵抗なく、すぐ捕まえたりしていました。
でもすぐに私も慣れましたね。今やすっかりお世話係です。
鶏は犬や猫、同じ鳥類でもカラスほど賢くはない。頭も小さいし、見ているとあまり学習能力はない気がします。
ペットとしてはちょっと物足りない。それほど触れ合う訳でもないし。
ただ、飼って一年、やっぱり愛着みたいなものは今はあります。子供達は特に鶏を気に入ってます。
特に2歳の次男にとっては鶏のいる生活が日常です。きっと彼の中では食事で食べるチキンと庭のチキンが同一のものという認識すらない。
晴れていれば鶏柵に行き、残したパンの耳を上げたりするのは楽しい様子。
隣人の子達も我が家に来ては息子達とミミズやら虫を捕まえては鶏に与えて楽しんでいます。
これも田舎の子達の遊び。
我が家にとっては鶏達は卵を産む以上の存在であることだけは確かです。
しかし、将来的には鶏が産卵しなくなった場合どうするのか、まだ真剣に検討はしていません。夫は飼う以前から鶏は最終的に食べるだろうな、などと言っていましたが。
その時には子供達への影響含め、家族で話し合いをすることになりそうです。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。