海の子、空を飛ぶ。

おはようございます。飯塚です。

先週に引き続き日本一時帰国中。

昨年同時期も日本帰国していた事もあり、子供達は少し慣れながらも、やはり日本滞在を楽しんでおり。

昨年に引き続き今年も「みちのくよさこい祭り」を見に行った。

私は元来、海に馴染みがない人間です。

さて。

アイルランドの生活はすっかり海辺に住む人なライフスタイルな我が家。

隣のうちの子たちと海遊び。これが我々の日常だ。

私自身は元々そうではなく、アイルランドに住んで10年経っていながらもいまだに泳いだ事がなかったりする。

海水、冷たいんだもの。

真夏でも子供達がブルブル震えながらビーチに上がり、家から用意してきたポットに入ったココアなぞを啜るのがアイリッシュのビーチライフ。

私自身、子供時代にあまり海に行った記憶はなく、父はどちらかと言うと山歩き人間でハイキングや軽い登山に連れて行ってくれた思い出の方が多い。

山好きな父、子育てがひと段落した頃からハマったのは、パラグライダー。

仙台市内から車で30分の山にあるパラグライダー教室に通いはじめてかれこれ20年くらい経つ。

4月から10月末までのパラグライダーの期間、父は週末ともなれば天気予報やら風やらをチェックしてはいそいそと山に繰り出す。

実は20年ほど前に一度空中で他の人と衝突し、落下した。

すぐに救急搬送され入院したけれども、幸い大事には至らず。

身体が戻ってからはまた飛び続けている。

今年で77歳、年齢的にはおじいちゃん、以外の何者でもない。

それでも飛ぶ。

アイルランドで私の両親の話になる際に、

「父はパラグライダーやってます」

と言う。何よりも身体が丈夫な証明だから。

9歳児はずっと興味津々でした。

夫の家族は私の父のパラグライダーに興味深々。

特に9歳の息子1号は

「僕もいつか飛びたいなー」

などとことあるごとに話していた。

昨年の帰国では行かなかったパラグライダー。

好天の日曜日、見るだけでも、などと言いながら山に行く準備をする。

場所は我が家から車で約30分。

目的地に近づくと、飛んでいるパラグライダーがいくつか見えてきた。

車を停めて山に向かって歩く。

「バッタ捕まえた!」

「コオロギだ」

相変わらず虫取りに興じる男児達。

コオロギらしいですよ、これ。

パラグライダー教室の人達はベンチに座って飛んでいる人を見たり、ランチを頬張ったり。

また草原には着地した人が道具を片付けていたり。

父は事務所の人に声をかける。

「孫が飛びたいんだけど、タンデム(二人乗り)空いてる?」

事務所の方

「一時台に二人予約入ってるんだよ」

あらー、ダメなのかな。残念。

「それ待ってからやるかな?」

あら、いけるかな?息子の顔が綻ぶ。

「体重何キロあるの?」

「31キロ」

「あー、軽すぎるな。40キロないと。重しつけたらいけるかな」

しばらく下で遊んでいたけれど、上に行く事に。

リフトに乗ろう。

リフト初体験な子供達。

活発な2歳児は特に心配だな。

リフト乗り場のスタッフさん、子供達を乗せるのに細心の注意を払ってくださり、無事乗車。

高所恐怖症らしい息子2号はしっかりとバーを掴む。

数分で到着した山の上。

下より少し空気が冷える。

傾斜が怖いな。

怖いもの知らずな2歳児が転がり落ちそうで気が気ではない。

仙台市内も海も見える山の上。

子供達を少し遊ばせ、小腹が空いたのでお菓子を食べながら景色を見る。

私の父もパラの機材を背負ってやってきた。

準備をし、風の具合を見ながら待つこと数分。ついに空を飛んだ。

子供達が「飛んだ!飛んだ!」とはしゃいでいる。

パラグライダーの飛ぶ瞬間も見られて子供達は大満足。

とはいえ、寒い山の上。

傾斜で子供達が落ちそうなので、リフトでまた下界に降りる事に。

下りのリフト、実はかなり怖い。

スキーでも基本的にリフトは上りしか乗らないから、下りのリフトは初体験かもしれない。

子供達も怖がっていた。

また山のふもとの草原で遊ぶ子供達。

しばらくしてスタッフさんから声をかけられる。

まもなく飛ぶ時間。

重しなどの装備をし、ヘルメットかぶって、行ってきます!

満面の笑みで張り切ってまたリフトに乗った。

下で待つこと20分。

レシーバーを持ったお兄さんが

「お兄ちゃん、降りてくるよ」

と息子2号に声をかける。

全員で山の上を見上げて待つこと数十秒。

二人乗りのパラグライダーが飛んで来た。

すぐに着地するかと思っていてもなかなか降りて来ない。

真上をくるくると旋回、したかと思えばまたぐる〜っと大きく周る。

飛びながら足をバタバタしている9歳児が下界から見える。

レシーバーを持ったお兄さんが

「お兄ちゃんと話す?」

と息子2号に声を掛けレシーバー越しに飛ぶ息子の歓喜の叫び声がする。

下で見ているパラグライダーメンバーの皆さんが

「軽いから長く飛べるんだね。なかなか降りてこないなぁ」

と上空を見上げながら笑う。

長ーいこと空を浮遊しながらも、とうとう着地。

9歳児、満面の笑み。

「どうだったー?」

「楽しかったーー!!寒かった!またやりたい!!」

あぁ、好きなんだな、こういうのも。

良かったねぇ。

セーリングも、カヤックも、そしてパラグライダーも子供時代に経験するってなかなかないよね。

あれから

「パラグライダー楽しい!またやりたい!!」

が止まらない9歳児、ですが。

いろんな世界を知られるだけでも幸運だよな、と改めて実感したのでした。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。