田舎で道草を食う 2

おはこんばんちわ。飯塚です。

2013年、長旅から日本に帰国したのは4月の半ばでした。

食の天国、日本で食べたい物は数えきれない位ありましたが、春といえばたらの芽の天ぷら。

これがどうしても食べたかったのです。

子供の頃は野菜嫌い。
幼い頃はサラダや煮物、炒め物の野菜を嫌々ながら食べた記憶しかありません。

それなのになぜか山菜やキノコ類は大好きで山菜そばは好んで食べました。

あぁ、たらの芽の食感がたまらなく好きです。
日本に春帰ったらまた食べたいなー。

またインスタネタです。

インスタがなかったら、西の果てでかなり貧しい食生活を送っていただろうな、とよく思います。

このおかげでキクラゲにも出会えたし、ワイルドガーリックの事を知ったり、ロシアンショップでたらこが買えたり。

今回は、わらび 。

これもイギリスに住む日本人情報からです。
始めの頃は他のシダ類と全然見分けがつかなくて、間違えたりもしました。

で、ある時、確かもう7月くらいだったと思いますが、ニョキニョキ伸びてるわらび を見つけました。

あれ、これじゃないかな?

思わずスマホの画面と確認したら全く同じ。

ただ、もう時期は過ぎてしまっていたので、その年は食べられず。

それまで全く気づかなかったのが、その時からそのわらびっぽいニョキニョキばかりが目に入る不思議。

今まで私は何をみていたのか、と自分を叱責したくなるほどあの道もこの道もわらびだらけ。

今や春の恒例、わらび採り。

満を持して翌年春、わらび採り開始。
伸び切っているわらびは固い。
生えて間もなく触ってまだ弾力があるものだけ食べられます。

初めの年はこういうことが分からなくて欲張って固い根元から切ってましたが、実際には固い箇所は食べられないということは試食して知りました。

ジョギングしながらわらび採り。一石二鳥。

採ったものは洗って手で撫でながら産毛を取り除き、余計な葉などもとります。

大きめの鍋にたっぷり湯を沸かし、そこに洗ったわらびを投入。

入れたと同時に火を止めて重曹を大さじ1投入。

落とし蓋をして一晩放置。

翌日、濁った緑色の水を捨て、水が透明になるまで洗い、下処理終了。

後は水に浸して冷蔵庫で1週間保存可能。

わらびはごま油で炒めてキンピラ風にしたり、そばつゆかけてお浸しにしたり。
後はやっぱり蕎麦やうどんと一緒に食べるのが最高。

一年で100回は食べたいこの蕎麦。実際は数回しか食べられない。わらび、近くの海岸で採れたもずくと天然海苔、家の鶏の卵と自給自足トッピング。

基本的に私しか採る人はいない。

ちなみにアイリッシュはわらびは食べません。
インスタでもイギリスでわらび採りを楽しむのはほとんど日本人。

とはいえ、アイリッシュの夫もわらびは好きなようです。
この食感はなかなかいい。
と毎年春を楽しみにしてくれるのは嬉しい。

彼は食への好奇心が旺盛で、初めて来日した際も旅館の食事の一つ一つを物珍しそうに箸で突きながらもほとんど全て完食しました。
(納豆はダメでしたが。)

ただ、他のアイリッシュの友人にわらびの胡麻和えを食べてもらった際は
「この食感はダメだわ」
と正直な感想が出ました。

おそらくちょっとヌルッとした食感のことを指しているんでしょう。
こちらではヌルッとしたもの、ネバネバしたものは腐っている、という感覚なのだろうと
思います。

オクラ、納豆、長芋、みたいな独特の粘り気のある食べ物は一般的に食べられていません。

またアイリッシュは基本的に食に関してとても保守的。

知らないもの、新しいものを食べたい、食べてみようとは思わないようです。

昨年の春、わらびの束を片手に散歩だったかジョギングから帰宅したところ、お隣さんに会いました。

「何、それ?どうするの?食べるの?」

「そう。春はいつも採って茹でて食べるの。試してみたかったら明日あげるよ?」

「えー、いらないわよ(即答)」

そうなんだ!
ちょっとくらいは興味示すかと思っていたのですが、ある意味気持ちがいいほどの拒絶ぶりに驚きました。

このお隣さん、典型的なアイリッシュなので色々興味深い。
新しい食べ物、変わった食べ物大好きな日本人とは大違いで本当に面白いです。

つくしって地方独特の食べ物ですよね?

このほかにもアイルランドではつくしも採れます。

もちろんこの情報もアイルランドに住む日本人のインスタから情報を得ました。

つくしといえば子供の頃、家族でお花見に行く地元の大学の境内でいつもつくし採りをしました。
ビニール袋いっぱいに採ったつくし。
子供なのではかまを取る作業はやりたくない。

母がブツブツ文句を言いながらはかまをいちいち取っていたのは今でも覚えています。

でも味は覚えてない。
大人になってから食べた記憶はほぼなくて、アイルランドにきてつくしを見つけた年に一度採って食べてみました。
Foraging(自然食を採って食べること)が好きな夫は

「それ、毒があるから食べちゃいけないんじゃないの?」

と驚いていました。
そう、はかまは毒がある。
でもそれを取り除いて食べるなんて日本人はなんて食に貪欲なんだろう。

で、ウン10年ぶりに食べたつくし。
個人的には独特の苦味が好きな味ではなかったです。

つくしの佃煮、食べてみたのはこの時限り。まずくはないけど好きな味ではなかった。

というわけで、それ以降は採ってません。

今年は先月中旬でわらびも終わりました。

また来年の春を待ちます。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。