親の仇か、酔った勢いか。

おはこんばんちは。飯塚です。

先週から今週の二週間はイースターホリデー。

いわゆる春休みです。

先週は子供達と映画やカフェ、町のサーカスに行ったり。

サーカスの偽物ミッキーマウスに萌える。ちなみにEU圏では動物愛護の観点から家畜以外の動物をサーカスに出してはいけないようで、出演動物は犬、羊、アヒルなど。

また義理の両親が男児二人をおもちゃ屋さんに、お隣さんも犬の散歩に男児二人を連れて行ってくれたり。

周りのサポートに感謝が尽きません。何より嬉しいのは我が子達がご近所さんも義理の両親も大好きで喜んで行っている事。

私と離れると気分転換できるし叱られないから楽しいんでしょうね。

改めて住む環境の良さにありがたみを感じます。

春のチョコレート祭り

イースターが終わりました。

イースターに関しては昨年のこちらを。

イースターの起源とか、はっきり言って子供達はどーでもいいのです。

子供にしてみたらチョコレート食べ放題の日だよね?

みたいな感覚です。

イースター前のスーパーの陳列棚。こんなに並べる必要ある?

日本で3歳までチョコレートをはじめとした甘い物や砂糖は与えないというのは本当でしょうか?

それってアイルランドではほぼ不可能。

イベントの度にチョコレートまみれ。
ハロウィンも、なぜかクリスマスもチョコレートをたくさんもらう。(でもバレンタインは男性から女性に花束です)

このイースターもなぜか学校からもサッカークラブからもご近所さんからも、チョコレートをもらい放題。

あー、またか。

本当に勘弁してください。

アイルランドのチョコレート攻め、容赦ない。

チョコレート会社から学校や幼稚園にチョコレート寄付されてんでしょうね、買収といった方がいいのかも。

男児二人にこんなに。さて、全部なくなるのはいつだろう。

身体に良くない、とか砂糖とり過ぎ、なんてあまり気にする人いないし。

この国には食育や食文化という概念もほぼありません。

で、アイルランドに住む日本人は必ずこの話題を愚痴ります。

「アイリッシュ、本当チョコレートばっかり食べてるよねー。だからあんな身体になっちゃうんだー」(アイルランドの肥満率は日本の10倍)

東と西のケーキ事情

先週、アイルランドにはイチゴのショートケーキは存在しない、と書きました。

バターが美味しいアイルランド。カフェでもタルト、パイ系はバターの風味とフルーツの酸味が効いていて当たりの確率も高い。

しかし日本人に不評でアイルランドで主流なのはバターと砂糖がどっさり入ってベーキングパウダーで膨らませたスポンジに、砂糖のアイシング、または砂糖をたっぷり入れたバタークリームのケーキです。

どこでも売ってるバタークリームのカップケーキを作ってみた。砂糖400g消費…。作っておきながら子供達に「全部食べないで残しなさい」などと言い、二度と作るまい、と心に誓う。

とにかく、重い、甘い、どっしり。ドスコーイ!な重量感。

近所のスーパーのオーダーメイド(和製英語)ケーキ見本。このチョコレートの下は甘いスポンジ。食べる前から「参りました」と言ってしまうのは私だけ?

日本で好まれてる卵白のメレンゲで膨らませてふんわり柔らかな食感のケーキは一般的には見当たらない。

という訳で、日本に居た頃はケーキ作りなどした事なかった私も、こちらに来てからショートケーキやシフォンケーキを作るようになりました。

私は日本のケーキが甘さ控えめで軽くて優しい口当たりで美味しい、と思うのですが。
でも、アイリッシュは違うみたいです。

日本の大学に留学していたアイリッシュの女の子、痩せてて可愛い見た目とは裏腹に、

「日本のケーキは甘くないし軽くてフワフワしてて食べた気がしないから嫌い。」

なんて言うじゃないですか!

アイルランドの存在感ありすぎるケーキに慣れた人達には日本のケーキは空気みたいで物足りない、という話は割と衝撃的でした。

フワフワ代表のシフォンケーキ。これは飲み物です。ちなみに義理両親とお隣さんは気に入ってくれています(お世辞かもしれないけど)。

ダメだ、やっぱり私はこの人達の感覚がわからない。

で、私の作るケーキはたいてい日本のレシピで作るので、甘さ控えめ。

一応ね、気付いてるんです。

ケーキを食べた人達、

あれ?この人は砂糖の計量間違えてるかな?全然甘くないんですけど。

みたいに思ってる事。

口では一応褒めてくれてるけど、

また甘くないケーキか、日本人の健康志向もたいがいにしろよ、って、顔に書いてるの、残念ながら私には読める。

いや、でも砂糖はたくさん入ってますけど!

だってケーキ作る時、毎回砂糖量るときに毎回ないまぜな、罪悪感とやっちまいな感。

あれ以上砂糖入れるなんてありえないでしょ。

ダイエット中の人は日本のケーキを食べましょう。

しかし、欧米ケーキは砂糖とバターの量が半端ない。同じケーキでも欧米と日本のレシピ比べる度に仰天する。

例えば、コロナのパンデミック中にアイルランドで流行ったバナナブレッド作り。

バナナブレッド、バナナのパウンドケーキですが、英語でレシピを調べると砂糖の量が140gや150gなのに対して、栗原はるみさんのレシピだと砂糖50g。

三分の一って!

熟したバナナは甘いからそんなに砂糖入れなくてもしっかり甘い。

それでも欧米人は砂糖はどっさり!

ズドーン!

もう、いーんだよ。どっちみちズドーン!な体型だから気にしない!

バナナブレッドは材料量って混ぜるだけ。レシピは砂糖が少ない栗原はるみさんので作ります。

キャロットケーキも同様。

3年前になぜかハマってたキャロットケーキ。その時以来作ってない。またたまには作ろうかな。

欧米由来のキャロットケーキ、アイルランドではよく見るので、始めは英語で検索します。

砂糖の量がスポンジに330g、上に乗せるフロスティングにも砂糖300g、合計600gって…。

親の仇みたいな心意気で砂糖を大量投入!

エイ、ヤー!!

なんなんだろ、この人達、砂糖供給団体に買収されてんのかな?

コロナのビルゲイツ陰謀論は信じないけど、人間を砂糖漬けにして破滅させようとしている説は密かに信じてしまう私は被害妄想が強いのか。

という訳で、たまには本場のレシピで作ろう、と英語のレシピを検索しても、そのドアを開けて、

うわ!ヤバい!私向きじゃなかった、失礼しましたー!!

と開きかけた扉をまた閉める。

と日本語で検索する。

うーむ、日本のレシピ、砂糖の量が可愛らしい。

キャロットケーキ、砂糖はスポンジとフロスティングでも合計245g。砂糖はやっぱり半分以下。
それで甘さ足りるんだよね?

じゃ、なんで欧米人は砂糖を600gも入れたいのか。

ほら、陰謀論があるはずだ!

次回は私も酒の力を借ります。

そういえば、セントパトリックスデーに作ったギネスのケーキもレシピ調べて愕然としました。

ギネスケーキ、アイルランドのビール、ギネスビールを使うケーキです。

検索するとイギリス人のセクシー料理家、ナイジェラ・ローソンのレシピが一番最初に上がる。

で、そのレシピ、スポンジで砂糖400g、加えてクリームチーズフロスティングに砂糖150g。合計550gもの砂糖を使う。

いやー、それやりすぎでしょ。12人分らしいので、当分すると一人当たり45gの砂糖を摂取する事に。

あのう、WHOが推奨する1日の砂糖摂取量は25gらしいんですけど…。

私なら酒飲みながら完全に酔っ払わないとこんなに砂糖入れられない。

これってギネス飲みまくって酔っ払いながら作ったケーキなのでは?

しかもコーヒーや紅茶にも砂糖入れますよね、あなた方は。

という訳で、ナイジェラのレシピは使わず、砂糖が少ないレシピでしかも砂糖を更に減らして作りました。

ギネスケーキ、ちょっと練習したい、と思いながらまだ再挑戦してません。

てへへ、またやり過ぎちゃった。

ランチを食べにきた夫の家族に、

また砂糖入れ忘れたのか、と思われたっぽい。

ちょっとだけ、反省。

はい、次回はギネスビールしこたま飲み干して酔っ払いながらケーキ作ります。

もちろん砂糖には甘さ以外にもしっとりした食感や生地の膨張、腐敗を防ぐための効能がある。

欧米由来のケーキ、日本人の料理家さん達は試作しながら日本人向けに砂糖やバターはかなり減らしています。

レシピがこんなにも違うんだから甘さに慣れた人達が私のケーキを食べて、

⁇砂糖ちゃんと入れてる?

と言う反応になるのはある意味納得。

私自身は先日招待された子供の誕生日パーティーのケーキ、甘すぎて食べられませんでした。

本当に砂糖の味しかしない。

それを嬉しそうに食べる子供達に、あーあ…。と言葉にし難いネガティブな気分になったりして。

ま、和菓子や餡子も砂糖の量は割と驚異的なんですけどね。

アイルランドに来てから自分であんこはたまに炊きますが、砂糖を減らすとやっぱり出来上がりがイマイチなんです。

だから心を鬼にして砂糖を大量投入。

目を瞑って袋ごとドバドバ砂糖を鍋に突っ込む。

あんこを炊いた次の日はあんこバターサンド。コクがあるアイルランドのバターと合わせたらもう最高。ブラックベリーのスムージーと。

ジミーーに日本のケーキ普及活動をしています。

ちなみに、そんな私でもお気に入りの欧米のケーキレシピがいくつかあります。

タルト・タタンや、イタリア風アップルケーキなどはレシピを見て、これなら私も作りたい!と思う砂糖の量でした。

美味しく出来たので何度も作っています。

オリーブオイルと大量のヨーグルトとりんごで作るイタリア風リンゴケーキ。

また、友人は私の作る抹茶ガトーショコラが今まで人生で食べた中で最高に美味しかった、と別の友人に力説してくれたそうなので、日本風の甘さ控えめケーキが好きな人も一定数いることも事実。

味覚は環境で作られる。

甘さに加減がないアイルランドに居ながらも、自分の子供達には日本のケーキで満足して欲しいな、また日本のケーキの良さをちょっとでも知ってほしいな、などと思いながら細々とケーキ道を邁進しています。

日本由来のミルクレープは実はアイリッシュにも大好評。食べ応えがあって甘い、というのがポイントなんだろうな。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。