退屈な夏の夜に。
おはこんばんちは。飯塚です。
この夏はここのところ毎週、天気の愚痴を言ってます。
2024年の夏はハズレ、で決定です。
確かに去年の「雨ばかりだった夏」よりは若干マシだけれど全然気温は上がらず。
20度いく日がほぼない。
スペインやフランス、アメリカからの観光客はダウンを着てニット帽を被ってたりする。
きっとお土産屋もアランニットの温かい冬服が売れているに違いない。
来年は夏に日本に帰国して花火やお祭りを体験してもいいかな、という気になる。
このあと挽回するのか、それともこのまま秋冬に突入するのか。もうすでに気温は秋同様なのですが。
ドラマを観られる生活はここ最近になってから。
日本で会社員をしていた時代、残業に追われすぎ帰宅はいつも夜中近く。
テレビは殆ど観ない生活でした。
仕事柄、映画は意識してよく観に行くようにしていたけれどドラマやバラエティはあまり観た記憶がない。
残業から開放された時期にやっと少し観られるようになったけれど日本のTV事情にはかなり疎いと自覚してます。
それがここ5年くらいで西の果てから日本のドラマをちょこちょこ観るようになって。
今年冬は「不適切にもほどがある」にハマり。あんなに声出して爆笑したのは久しぶりで毎週楽しみでした。
やっぱりクドカンは天才。随所に笑うツボを抑えつつメッセージ性もある。
阿部サダヲさんは紛れもなく演技派。
日本のドラマもたまに観るけれど、積極的に観てるのは欧米ドラマ。
英語が聞きやすい事もありアメリカ物よりはイギリス物アイルランドのが好き。
たまにオーストラリア、字幕つきでスペインやイタリア物も観ます。
コメディやラブストーリー、アクション、ギャング系は苦手。だいたい1話か2話で挫折しがち。
実話を元に作られた怖い話やサイコパス人間のスリラー系、成功を掴んだ人間が転落する暗い話、不幸な話のドラマばかり好んで観てる。
サイコパス話は「ああ、やっぱり人間って狂ってるよね」などとしみじみ噛み締めたり、成功からの転落系は一応何か学んでる気になってる。
まだ成功もしてないくせに。ええ、本当は何も学んでもないのも自覚してます。
春にはディズニープラスで配信された真田広之さんがプロデューサーと主演してる「Shogun」がこちらでもかなり広告も大々的で話題になったのですが。
私も日本人のはしくれとして観ないといけない気がして。
真田広之、浅野忠信、西岡徳馬…俳優陣がとてもよく、海外発の日本を描いた映画にありがちな「なんちゃって日本」感はなく本格的で評判が良かった。
よく話すパパ友さんも「今shogun観てんだよ!面白いよね!」なんて話しかけられたりして、一応ムーブメント的な感じもあり。
ただ。実は私も夫もイマイチハマらずで。
何というか細かいエピソードに時間取られ過ぎて冗長に感じ、次のエピソードが早く観たい!という期待感もあまりなくて。
おそらくこの先シーズン2があるのだろうけど観るかどうかはわからない。
一応話題作は気になります。
で、最近新聞やラジオで話題になったのが「The Bear」のシーズン3が始まると。
何やらシーズン2が昨年のエミー賞最多10部門も取り、レストランの話だという。
レストランの話といえばロンドンを舞台にした「Boiling point 」を実は最近見観終わったばかり。
緊張感があり、職場の人間関係、人種差別、ジェンダー問題、ドラッグやアルコール中毒問題。イギリスの普遍的な社会問題も描かれていてよくできていた。
というわけで「The Bear」観よう。
ミシュランスター級の一流レストランで働いてきた男が、自死した兄が遺したシカゴのサンドイッチ店を引き継ぎ立て直す。人生に目標を見失っていたスタッフや家族もレストランの再生と共に再起をかける。
というお話。
登場人物全員常に喧嘩ばかりしている。口喧嘩、取っ組みあいの殴り合い。
1エピソードにつきfuckが50回は出てくる。血の気が多すぎる人達。
でもテンポがよくてグイグイ引き込まれる。よし!次だ、次!
観始めたらやめられない、止まらない。
すぐにハマり毎晩一気見して全シーズン計28話を10日くらいで観終わる。
暇人なんです。
始めは日本語字幕付けず英語だけで観てたのだけど、あまりに面白過ぎて全部観終わった後に日本語字幕つけてまた観直してしまい二巡した。
日本語字幕つけて観たらやっぱりもっとわかりやすくて。字幕なくても殆ど理解できてる気がしたけれどまだまだだったか。
2回目観ると実は伏線がかなりあるドラマだと気づき、粗探しなどできるどころか作品の良さに益々理解が深まるばかり。
これ、本当に名作ですわ。
とにかくキャラクターの描き方が素晴らしい。
主役はもちろんだけれどレストランで働くスタッフと家族のエピソードが丁寧に描写されている。それぞれの立場で言い分があるのを平等に扱っていて「悪者」がいない。
クセが強すぎて落ちこぼれなキャスト達も大好きになってしまう。
役者が全員上手い。演出にムダがない。
音楽の使い方がかっこいい。ラストは毎回違う曲がカットインされるけれどセレクトが洒落ていてサントラが欲しくなる。(探したらサントラもyoutubeにあったし今これ書きながら聴いてる)
えー、シーズン3楽しみなのに!!
シーズン3が始まったタイミングで観始めたシーズン1。というわけで知りたくもないレビューが目についてしまい残念な前情報が入ってくる。
シーズン3最悪。
シーズン3には失望させられた。
シーズン3を観続けるのは忍耐が必要だった。
シーズン3観る価値ない。
しかもこれらのコメントにはたくさんの同意が寄せられている。
え〜、シーズン2最高なんだけどな。シーズン3そんなにつまらないのか。
期待しないで観なきゃ。
で、シーズン3始まり。
あー。確かに。
うん。納得。
レストランをオープンするまでの話だったシーズン2、借金まみれのレストランの新装開店は人生に行き詰まっているスタッフ達の新たな人生のチャレンジでもある。
ゴールに向かってスタッフ全員がそれぞれ自分のパートを固めて結束する。その勢いとスピード感が観るものをグイグイ惹きつけてたのが。
シーズン3だと綻びばかりが出てきて失速するのがなかなかしんどい。
でも仕方ないのかも。
上昇したら停滞と下降になるのは不可抗力か。
正直言って私もエピソード4くらいまでは「どうしちゃったんだ」感が拭えなかったけれども。
後半また持ち直して、満足。
実際はレストランや食べ物の話ではない。
レストランを経営する話だけれど、職場をどうしたらいいのか。チームの在り方、経営論、リーダー論、サービス業の心得(ここではホスピタリティと言ってます)、プロフェッショナル論が随所に出てきてセリフをそのまま一つ一つノートに書き出したくなるくらい。
金言の宝庫。
仕事をする人にはなんかしら刺さる言葉が毎回必ず出てくる。
いや、仕事じゃなくても人付き合いの極意、自分の非を認めて誠意を込めて謝る、とか、冷静に話し合う、とか。簡単そうで、でもできない心情など。
それを説教じみてなくてしっかりとエンタメに織り込むの本当に偉い!
仕事だけではなく恋愛の喜びや苦しみ、子育て論や兄弟の葛藤、母と娘の歪な関係、自死遺族の苦悩や虚しさなどもかなり刺さりました。
ちなみに個人的に凄く面白いなーと毎回思うのは、この「The Bear」もイギリスの「Boiling point 」もレストランを舞台にした話にも関わらず食べ物の映像はあまり出てこない。
前もここで「日本のドラマや映画、また本や絵本も食べ物の話ばかり出るけど欧米物は食べ物にフォーカスを当てない」的な話を書いたのですが、欧米ドラマを観る度にその思いは強まるばかり。
フォーカスされてるのはシカゴの街並みと役者の表情。
役者が本当に最高で。主演のジェイミー・アレン・ホワイトはかっこいいのも目の福だけれど職人的な料理人を見事に演じている。
お店を仕切るリッチー役のエボン・モス=バクラックもこの作品で大好きな俳優さんになった。
メインキャスト全員素晴らしいけど、ゲストキャストのオリビア・コールマンの品格のある存在感も尊い。
で。
日本は7月17日にディズニープラスでシーズン3が配信になったらしいのでぜひ観て欲しいです。
(アイルランドは6月から解禁だった)
でもね、邦題調べたら「一流シェフのファミリーレストラン」って…。
ごめん、このタイトル果てしなくダサすぎやしないか。
ファミレスの話じゃないしさ。こんなダサいタイトルで観る人いるかぁ?!
ま、原題「The Bear」だと日本は野生のクマ問題があるから混乱するからかな、などと逡巡したり。
さて、また新しいドラマか映画を観るかな。
普通の夏ならば日が長いのをいい事にバーベキューなどして夜な夜な楽しく飲むのにそれすら皆無な寂しい夏。
このままドラマウォッチャーになるのか。
オススメあれば教えてください。