深夜バス。
「無事全ページ校了しました」
昨晩、深夜に編集の方から届いた、とある特集号が校了したとのお知らせメール。
校了という言葉が、こんなにホッとするものだったとは。ここ最近で一番嬉しく安心した瞬間でした。落ち着いた心で過ごすことができそうな12月最初の週末。みなさまは、いかがお過ごしでしょうか。
一昨日くらいから、ぐっと気温が下がりましたよね。
パソコンをパチパチ、夜中や明け方に作業をしていると足元がヒヤッとします。

今週はなにかとドタバタと過ごしていたけれど、先週は何をしていたっけと、カメラからSDカードを取り出しデータを読み込む。パラパラと読み込まれていく画像の中から静まり返った東京駅の写真が出てきました。
そうでした、そうでした。先週の土曜日は名古屋に向かっておりました。SAKRAJPにもよく登場する、ママ友でタンデコロリというお菓子屋さんの運営しているあやちゃんと、バンテリンドームで行われるコンサートを見に行っていたのでした。まだ数日しか経っていないのに、なんだか遠い昔のような気がする。年末は時間が過ぎるのが本当に早く感じる。
行きは新幹線で名古屋まで移動をしたのですが、帰りが問題。コンサートを最後まで見ると、東京まで戻る新幹線の終電には間に合わない。泊まってゆっくり帰って来ても良いけれど、お互い仕事も溜まっている。名古屋駅を23時30分に出発する深夜バスならば、コンサートが終わって移動しても間に合いそうだ。ということで、この年齢で深夜バスはなかなかきついよねと言いながら、日曜日の朝には東京に戻れるバスのチケットを取りました。
深夜バスに乗るなんていつぶりだろうと話しながら、バスに乗り込む。座席のあたまのところには、ベビーカーの幌のようなものがついていて、光を遮るようになっており、フットレストも上がるようになっている。 想像していたよりも快適に移動ができそうだ。
前回深夜バスに乗ったのは、10年以上前。一関から池袋行きのバスでした。気仙沼に出張に出ている時、実家に預けていたまだ保育園に通っていた子供が高熱だという連絡が母からあって、急遽深夜バスに乗ったのでした。一関は雪が降っていて、道路も凍っていた。風も強く、コートの首元をぎゅっと押さえながら急足でバスに乗り込んだ瞬間が頭に戻ってくる。朝起きると体がガチガチで、ぶるっと寒気がして、到着の翌日に子どもと同じように熱を出したことも急に思い出しました。
初めて深夜バスに乗ったのは大学生の時。バイトのお金を貯めて計画した友達との京都旅行。移動手段に、往復バスを選んだのでした。あの頃は体力もあったし、8時間ほどのバス移動はさほど苦ではなかった気がする。京都駅に到着した朝は天気が良くて、バスを降り、京都の地にぽんと足をおろした瞬間はなんだか誇らしい気持ちでした。友達が行きたいと行っていた貴船神社までトロッコ電車に乗り、船床も体験した。ところてんを食べたんだったっけなぁ。船床といえど、川の一番低い位置にあった甘味所のような場所で、いま思えばなんちゃって船床のようなスタイルだったけれど、それでも川の音が涼しく、小さな岩にあたる静かな水しぶきが気持ちよかった。琵琶湖まで足を伸ばし、その大きさに驚きながら、湖のヘリで将来何をしたいかなんて話をしていたこともふわりと頭に蘇ってきました。

名古屋から東京までの道中、トイレ休憩は3回。金山、静岡、海老名で30分ずつ停車をするらしい。海老名のサービスエリアに着いたら、ちょっと降りて何か買う?眠れるかなぁなんて話していたけれど、結果はほぼ爆睡で、名古屋から東京まで瞬時にワープしたように八重洲バスターミナルに到着していました。
八重洲口に、ミッドタウンができていたことも知らなかった。新宿のバスタのようなスポットができていることも知らなかった。私たちが乗りたい千代田線の二重橋駅に向かうにはどっちに歩いたらいいんだろうねと、おのぼりさんのように道を迷いながら、地下の道を進むことは断念。結局、いったん地上に出て、丸の内方面にむかって歩くことにしました。
朝の6時すぎ。日曜日の東京駅周辺はとても静かで、歩いている人はまばらというかほとんどゼロに近い。コーヒーでも飲みたいねと平日は活気のあるはずの周囲を見渡すけれど、この時間に空いているお店は皆無。駅中であれば、コーヒー屋さんもパン屋さんもやっていたのだろうけれど、地上はまだ動き出していませんでした。

こんなに朝早く東京駅を歩くこともないから、新鮮だねと話しながら二重橋の駅まで散歩。黄色く染まった楓の葉が、道路を低く舞っているのを見るとなんだか年末を感じる。昨日は、クリスマスマーケットに人が集まっていた丸の内の広場。もちろんオープンしていないカフェGARBの前を通る。山梨出身のあやちゃんが、20代の頃に大阪に住んでいて、長くバイトをしていたというカフェGARB。「もう大阪のお店はなくなっちゃったんだよね。ケーキがおいしくて、バイトのみんなもすごく仲が良くて、あの頃はほんとに楽しかったなぁ。」
深夜バスの不思議な力で、二人とも過去の思い出に浸る時間にもなりました。久しぶりに深夜バスで名古屋から東京にむかったこの時間も、いつかどこかで思い出す日がやってくるかもしれません。

あっという間に2025年も終わってしまいそうですね。12月中にやらなければいけないことがまだたくさんあるなぁ。皆様、どうぞよい週末をお過ごしくださいませ。