感恩。

更新が大変遅くなりました。申し訳ありません。

新しい言語を始めることにしましたと、先週ご報告をいたしましたが。体験をしてまいりました。銀座にあるベトナム語教室。

まずは水曜日に20分の体験レッスン。

なぜベトナム語を始めようと思われたんですか?ベトナムは縦に長い国なので、ハノイのある北部とホーチミンのある南部では言葉や発音が変わるのですが、どちらの言葉を集中して覚えたいですか?などなど。質問に答えていく。っていうか、北部と南部でそんなに言葉が違うのか。でも日本でも標準語と関西弁では、ところどころ言葉が違うのと同じか。そんなことを考えながら、どちらの出身の先生にならいたいかを考える。ホーチミンももちろんよかったけれど、速度や味が身体にあったのはハノイ。北部の方。ベトナム語の標準語も北部の言葉とされているようだから、まずはそちらを学ぶのが良さそうだ。

「体験レッスンの先生も北部出身の方ですよ。では、終了後にもう一度参りますね。」

教室の説明や申し込みの手続きを担当してくださる事務の方とは、しばしの別れ。おかっぱ頭。パッツン前髪のかわいらしいホン先生がやってきた。

「実はわたし、今日が先生のスタートの日なんです。よろしくお願いします」

わたしもベトナム語スタートの日なんです。

申し込もうと思っているコースは先生と生徒が1対1のコース。先生は、7人いらっしゃる。自分の希望の時間に、希望の先生の予定が空いていたら申し込むことができるのだけれど、これも何かのご縁。なるべくホン先生とスケジュールが合う日に、教室に通うことにしよう。そう心の中で思いながら、レッスンを聴き始める。

「ベトナム語は、声調がとても難しいですけど面白いです。私が日本語を始める時にも、日本語はひらがな・漢字・カタカナがあるし、難しい。でも、おもしろいよって先生から言われたんです。そう思っていただけたらいいな。」

ベトナム語の少し跳ねるような響き。その声調がところどころに見え隠れする日本語で、丁寧に伝えてくれるホン先生。そうそう、ベトナム語の声調は6つ。中国語も四声をきちんと発音しないと伝わらないけれど、そこに二つ追加の声調。いったいどんな音なんだろう。

「去年ベトナムに旅行をされたとお聞きしましたが、なにか使ってみたベトナム語はありますか?」

旅する前に、ベトナム語のアプリでほんの少しだけ勉強していったんですけれど。結局、ありがとうを意味する「Cảm ơn」を自信のない小さな声でタクシーの運転手さんとホテルの方に話したくらいです。

29個あるベトナム語の文字の発音を教えてもらう。3つの文字がある「オ」。o 、ô、 ơの音の違いを教えてもらってから、先生に続いて発音をしてみる。韓国語にも「オ」が2つある。日本語の「オ」と同じ発音と、口を縦に開いて喉の奥から音を出す「オ」。韓国語の「オ」と一緒の音がベトナム語にある!それだけで、なんだか嬉しくなってしまった。

アプリでポチポチ音を真似するだけの時にはわからなかった文字の上下にある記号は、声調を指示してくれるものだった。なんて親切な表記なんだ。中国語にも拼音があるけれど。漢字しか書かれていない状態だと、拼音を調べないと発音がわからない言葉が、まだまだ山のようにある。

そして、漢字語が60%くらいあるということのわかったベトナム語。「ハ、ノ、イ」の3文字で考えていた首都の名前は漢字語だった。Hà Nội 。Hà=河でNộiは内。正確にはThành phố Hà Nội。城庯河內という漢字が当てはまることがわかった時には、脳からアドレナリンがどばっと吹き出した。「ハ、ノイ」2文字だったのね〜!!!

あっという間に20分の体験レッスンが終わって、正式な申込。学校を出て、アプリですぐに次のレッスンを予約。次のホン先生のレッスンが受けられる日は金曜日。もうすぐに入れてしまおう。というわけで、今週1.5回のレッスンを受けてきました。

声調が6個。「6」の文字に若干ひるんでいたけれど、4つの声調は中国語の四声と同じ。残りの声調の一つは、思っていたより簡単。文字の下に「. 」を打って表記するdấu nặngと呼ばれる第6声は、勢いよく落として短く切ればいい。先生からすぐにOK!をいただく。

難しいのは第5声の「Dấu Ngã」。Dấuは記号で、Ngãは倒れるという意味。音は少し高い音で急激に上がる→少し下がる→さらに上がるというなかなかの難関。声調の記号の「~」から音を想像するとやわらかくゆっくり音を出すイメージだったけれど、もう少し短く発音する。これは練習あるのみだな。

ベトナム語の漢字語は、漢越語と呼ばれるのだということも初めて知る。ハノイが河內だったことに感動していたばかりだけれど、2023年のベトナム旅行で唯一伝えることのできた、ありがとうを意味するCảm ơnもなんと漢越語だった。

Cảmが感じるの「感」。ơnが恩義の「恩」。恩を感じるで、ありがとうだった!

アプリをぽちぽちしながら音をマネするだけだった時には、未知の遠い言語だったベトナム語と急に仲良くなれた気がする。じわじわと感動。うん?感動ってなんていうんだろう。もしや、これも漢越語だったりして。

検索してみるとピンポンピンポン。表記は「cảm động」。カムドン。かんどうー!!!

声長が6つ。文字も見慣れない記号がいっぱいついている。こりゃ難関だと思っていた言語がぐんと身近になって、ぱーっと目の前が開けていきます。

ベトナム語の定番の挨拶だという「Ăn cơm chưa? (アン コム チュア?)」。元気?というニュアンスで「もうごはん食べた?」と挨拶をするのだということを知って、大陸のつがなりにまた胸が躍る。韓国語の「밥 먹었어?」(パン モゴッソ?)ごはん食べた?のニュアンスで、ベトナムでも友達と会った最初の瞬間に「Ăn cơm chưa? (アン コム チュア?)」を使っているシーンが目に浮かぶ。

これはこれは。思ったよりも早く、深く仲良くなれそうだ。

2024年も新しい言語と共に、楽しい一年になりそうです。

みなさま今週も一週間おつかれさまでした。どうぞ、素敵な週末をお過ごしくださいませ。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

HPはこちら