クリスマス感。

ベツレヘム。その土地の名前を最初に聞いたのは小学生の時。「世の光、地の塩」マタイによる福音書の5章13節から16節に書かれたこの言葉から名付けられた学校にて。イエス・キリストの生誕を祝うため、東方からやってきたカスパール、メルヒオール、バルタザールの三博士が星に導かれてベツレヘムへやってくる。このシーンを5、6年生が演じるのが、母校の毎年のクリスマスのならわし。カトリック信者の子も、信者ではない子供たちも、同じように聖書の言葉を習って、同じように演劇を見て、クリスマスのミサがある。

思えば人生の中で、この頃が一番クリスマス感があったのかもしれない。

海外に旅に出られていた時期には、もう少しクリスマス感があったような気がするのだけれど。ここ数年、めっきりクリスマス感がなくなってしまった。今年は特にそれを感じる。なんでだろう。

映像を見るといえばNETFLIXやYoutube。テレビのCMを見る機会がほとんどなくなった。松たか子さんが微笑むヤマザキのクリスマスケーキのCMが流れてくると、今年はどこでケーキを頼もうか悩むとか。「ク〜リスマスが今年もやってくる」竹内まりあさんの歌声を聴くと、ケンタッキーが食べたくなるとか。クリスマス関連のアイテムが無意識に目や耳に入ってくる機会が、めっきり減ったことも影響しているのかもしれない。

そして今年一番クリスマス感がなくなった理由は、中学一年生になったこどもとの会話。「クリスマスプレゼント、何がいい?」「○○のCDが欲しいんだよね。ドラムの帰りにタワーレコードで買ってもいい?」

毎年「今年は何をサンタさんにお願いするの?」と聴いていたはずの質問。

サンタさん→トルツメ。お願いするの?→何がいいの?に修正。

それに呼応するこどもの答えも、何をいつどこで購入するかまで、具体的になっている。

13歳になった息子に「サンタさん」というのがなんだか恥ずかしくなっている自分と、「サンタさん」の存在について、父か母かと聴くこともなく、やんわり察する息子。

今年はお泊まりに行ってしまって、クリスマス家にいないこども。母は旅の仲間と2021年の下半期3回目のサムスンネに。

早い時期から任天堂さんのゲームやポケモンさんのカードを手に入れるために、四苦八苦していた頃がすでに懐かしい。この時期のママ友との会話。あそこでSwitchが買えた。あそこなら予約がまだ間に合うよと、情報交換をしていた中にも、でんとクリスマス感が存在していたんですよね。

海鮮カルグクスのネギの緑とにんじんの赤。ちょっとクリスマスっぽい?

サンタ終了。

ちょっぴり寂しくもあり。こんなに自然に終了するもんなんだと、おもしろくもあり。

次にザ・クリスマスを感じられるのは自分がばぁばになった時?そう考えるとあと15年くらいは、こんな感じでクリスマス感のない十数年を過ごすのかもしれません。

ソジュ(韓国焼酎)の甘さは、ちょっとクリスマスっぽい。
サムスンネはやっぱり鴨の塩焼き。今回は特別にトロトロに焼けた玉ねぎがおいしかった。

「おとなになったねぇ」

もう中学生の「ためになったねぇ」のトーンで脳内にナレーションが入りました。ちょっぴり寂しくもあり、子供の欲しいものを一緒に買い物に行く楽しさもあり。すっかり減ったクリスマス感もわるくないねぇと思う、2021年のクリスマスでした。

韓国料理のあとは、アーガンでネパール料理。2021年のクリスマスは、行きたい国のごはんを旅の仲間と食べる日に。それもわるくないよねぇ。
2018年のクリスマス直前に、コタンで飲んだネパールのククリラムを思い出しながら。サテ、マル、みんな元気かなぁ。

皆様、今年はどんなクリスマスをお過ごしでしょうか。

寒くなってまいりました。どうぞ温かいクリスマスと年末年始をお過ごしください。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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