勢いの似ている二人。

「きっと気が合うからさ、僕がいなくて大丈夫だよ」
仲のいい友達の、そのまた友達と、仲のいい友達抜きで初のご対面。
最初、3人でご飯に行こうと話していた計画は、初対面の二人で会うことになった。

彼女の名前はニホンコン
SAKRA.JPの火曜日を担当する、3人の娘さんをもつお母さん。
土曜日の哈爾濱餃子の回を見て、「一緒に餃子を食べに行こうよ」と声をかけてくれたのだ。「二人はなんか勢いが似てる。」仲のいい友達=SAKRA.JPのリーダーぐっさんが言うものだから、全くの初対面なのに、不思議と不安はなかった。

11時に日暮里の駅で待ち合わせ。
直前でWEBページの修正依頼が入って、自分の住む最寄駅の喫茶店でカチャカチャ仕事をしていたら、もう電車に乗らなければいけない時間になった。

走ってホームに登ると電光掲示板には、「人身事故のためダイヤが乱れております」という文字。これは待ち合わせの時間に、確実に遅れてしまう。初対面なのに。ぐっさんもいないのに。慌ててメッセンジャーに遅刻しそうなことの連絡と申し訳ない旨を精一杯送ると「わたしもマスコミ関係に勤めていたから、自分が先についていないと切腹ものだって感覚、わかる。」とメッセージが飛んできた。
そうなんだ、マスコミ関係出身なのか。ぐっさんの言う「勢いが似ている」その心は、きっと一番最初に働いた場所も起因している。

哈爾濱餃子ふたたび。焼き餃子とトマト水餃子。デジャブです。

移動の間中、メッセージのやりとり。今・池袋、今・田畑、日暮里到着!走ります!扉の前で足踏みをしながらドアがオープンするのを待って、階段を駆け上がる。お互い文章は読んでいるけれど顔をよく知らない二人。「こんなズタぶくろを持っています」と直前にニホンコンが送ってくれた写真に写っていたカバンの「CIBI」の紫の文字を探す。走る、探す。またちょっと走る。見覚えのある文字が書かれたカバンを持った女性を発見。駆け寄ると1秒でわたしだと察してくれたニホンコンと、数秒見つめ合う。このご時世なのに「〇〇さん?」「あーーーー!!!」と互いに飛びついてハグをしそうになって、慌ててお互いにビョンと離れて大爆笑する。

「お待たせしてごめんね。」「全然!日暮里駅の中っていろいろあるんだね。ぐるっと一回りしてたんだけど楽しかったよ」出会って1分以内に感じるニホンコンの優しさ。自己紹介も早々に、息つくまもなく喋り続ける。

京成線のホームに着いて電車を待つ間も、電光掲示板を見ることなく、ただただ話し続ける。「このまま成田空港行きたくなるね。」「海外、行きたいね。」えーっと、初対面からまだ5分も経過しておりません。

プシュー。思ったより早く電車がやって来た。「お腹すいたよね。」「餃子楽しみ!」平日お昼前の京成線はもちろんすきすきで。あったかい日の光を浴びながらおしゃべりは続く。ガタンゴトーン、ガタンゴトーン。この景色もすっかり見慣れてきた。今回3度目の京成線普通列車。そうそうこの川を越えるよね。スカイツリーが見えるよね。駅も通過するよね。うん?私たちが乗ってるの普通列車のはずだよね。一駅、二駅、三駅。「ごめん、我ら特急に乗ってるかも。」「あははははは!次、青砥?戻るか」こんな時にも、互いが予測する次の行動がスパンと通じる。そして、笑う。

わたしたち、今日はじめて会ったんだよね。こんなにまで勢いが同じ。なかなか出会えないと思うんだけれど。予定よりもだいぶ駅をすっ飛ばして青砥に到着し、即ユータン。今度は必ず各駅停車に乗ること。上野行と羽田空港行も間違えないように。おしゃべりは止めずに、電光掲示板をチラチラ確認する。(きっとニホンコンも全くおしゃべりは止めずに同じ行動をとってくれていたはずだ)少し待って無事各駅停車に乗り、堀切菖蒲園の哈爾濱餃子に到着しました。「ここかぁ」お店を見つけてスタスタっと走っていくニホンコン。

「你好!」中国語の先生をしているニホンコンと哈爾濱出身のお母さんが、軽快に中国語で話しているのを心地よく聞く。「昨日電話をしたものです」って、多分中国語で言っている。楽しそうに中国語で話すニホンコン、かっこいい。

準備も素晴らしいニホンコン。このコロナのご時世、ランチも営業しているかを事前にお店に電話をかけて、確認をしてくれていたのです。「あなた中国語上手ね!」ってお母さんに言われたよと、メッセージをもらっていた。私がしっかりもてなしを受けて、案内してもらっている気分。ありがとう。ニホンコン。じゃなくって、こっちがおもてなしする日だよ。事前のメッセージのやりとりも含めてだけれど、出会ってまだ30分も経っていないはずなのに、なんという心地の良さだろうと顔がニコニコしてしまう。もしかしたらニホンコンは、とっても気を使ってくれていたのかもしれないのだけれど、こちらは、不思議なくらいものすごい自然、大自然な佇まいでいられました。

「僕がいなくても大丈夫」と予言したぐっさんには、我ら二人の性格がバレにバレているということだな。自分が一番自分のことを知らないのかも、とこういう時にふと思う。もうひとつこの心地良さ、思い当たる理由といえば。お互いの文章を事前に読んでいたということも大きいのかもしれないな。「きっとこんな人だ」の予測も、ピタッピタッとあっていく。でも、そのことをすぐに考えなくなるくらい、話していて止まらない、楽しいがまさっていった。それは、なかなかすごいことだ。

ニホンコンには、聞きたいことがたくさんあった。ニホンコンは中国語。私は韓国語。お互いに習得している言語のこと。中国に留学していた時、ホンコンで働いていた時のこと。どうして中国語を学ぶことになったのか。ニホンコンの感じる中国の面白いところ。そして、自分の中の本日最後のミッションは、中国語の先生をお願いできるかどうかを相談すること。

おいしい餃子を食べながら、ひとときも止まらないニホンコンとのおしゃべり。続きはまた次回。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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