鍋のおとも。

父のお爺ちゃんのお墓参りと初詣を兼ねて、三島に行ってきました。よく晴れた日。池尻から高速に乗って東名を走っている間、正面にずっと富士山が見える気持ちのいいドライブ。

「三島大社は、なんかご利益がある気がするんだよね」神社の周りにおいしいお店があることも手伝って、お参りというと「三島大社に行こう」と母が言う。免許のない母にかわってハンドルを握ることになるのは、父か私になります。

昨年はコロナの影響もあって三島までは行けなかったので、一年ぶり。正月三箇日は過ぎていたので、駐車場も空いているだろうと父と話していたのですが、三島大社に近づくにつれて車が連なっている様子。参拝をするのに何時間も何十分も待つというほどではありませんでしたが、たくさんの方がお参りに来ていました。

一昨年買った熊手を収めて、新しい熊手を買う。気持ちがすっきりする。

「福太郎餅も買ってかえらないとね。4つください。」

うにゅっと瓢箪のような形をした草餅の上にこし餡の乗った三島大社の名物のお餅。上品な甘さのあんこで、おいしいんです。

次の大河「鎌倉殿の13人」も楽しみですが、北条政子が勧請したという、三島大社の中にある厳島神社。家門繁栄、商売繁盛、安産、裁縫などの守護神なのだそう。手前の神池には、大きな鯉がたくさん水面に顔を出していました。

お参りが終わって、時間はちょうどお昼時。母がお気に入りの三島プラザホテルへ移動。楽しみにしていたお昼ご飯を食べに向かいます。水がきれいで、うなぎが有名な三島。「うなぎ御前を頼もうと思ったら、お正月は市場がやっていないんだって。今日は、別のものになるみたい」何が登場するんでしょうか。

お正月らしい突出しからスタート。メニューを追っていくと、鍋物のところには四元豚と書いてある。三元豚は聞いたことがあるけれど、四元もあるんだ。「四元豚は三島の名物なんですか?」と母が訊く。「こちら岩手産になります。三元豚よりもやわらかく甘味の強い豚肉になります。」

三島の名物予想は大幅に外れてしまいましたが、岩手産に納得。岩手の豚肉おいしいもんね。

ちなみに四元豚は、チェスターホワイト・ランドレース・ヨークシャー種を掛け合わせてできた母豚に、100%デュロックの雄を交配して生まれた豚肉なのだそうです。そうか。4種の掛け合わせだから「四元」なのか。そう思って三元豚を調べてみるとやはり、大ヨークシャー・ランドレース・デュロックという3種を掛け合わせたものでした。今までなにげなしに「三元豚」というブランドと思ってきたけれど、三島にお参りにきて、三元豚の謎が解き明かされることになりました。

海に近い三島。もちろんお刺身もおいしかったのですが、銀ダラの西京焼きについてきた脇役のたたみいわしが絶品。海苔と一緒に干してあるものは初めて食べました。これをあてにしたら、お酒がどんどん進んでしまう。本日は運転担当のため、残念ながら烏龍茶で。

三元豚よりもやわらかく甘いという四元豚がやってきました。旅館の朝食でよくみかける小鍋。丸い燃料に火がつきました。「豚肉はよく火を通してお召し上がりください。つけだれは、養老ぽん酢といって山芋とぽん酢を合わせたものになります。」四元豚の味よりも、なんだか気になる存在のつけだれがやってきた。

豚とネギを火にかけてしばし待つ。豚にしっかり火が通ったところで、ぽん酢というより、見た目はしっかり山芋のすったものにネギと豚肉をくるっとまとわせる。どんな味わいになるんだろうなどと考えている暇はない。山芋が落ちないように、急いで口に運ぶ。う〜ん。ふわふわでうまい!

山芋・長芋といえば、まぐろの山かけはたまにやるけれど、鍋物に山芋を合わせる発想はなかった。山芋好きの父のお箸がどんどんすすむ。しっかり嵌っている様子。

最後に出てきた鯛めし。鯛の出汁がきいて、とてもおいしいご飯だったのだけれど、今日のハイライトは「養老ぽん酢」でした。自宅でやる時は、もう少しぽん酢の分量を増やしてもいいかもしれない。ベースのぽん酢の味によってもかわるから、これは楽しいかも。子どもに山芋をすってもらって、ぽん酢も何種類か用意をしてやってみよう。

and recipeのページでも、レモン・ゆず・ライムの手作りぽん酢の作り方をご紹介しているので、よかったらこの冬ぜひお試しください。

今週の東京は雪景色が美しくて、見惚れてしまいました。

あたたかいお鍋とともに、たのしい週末をお過ごしくださいませ。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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