よく知っているはずの場所の、まだまだ出会っていない店。
ここ数年、年末になると韓国に足を運んでいる気がします。
先日はとある媒体の取材でソウルに行ってきました。寒い時には寒い時の良さがあるソウル。今回も寒かった!けれど、新たなおいしいものにも出会いました。
取材初日はちらちらと雪。韓屋を背景に空からゆっくり降りてくる雪に観光で訪れている人たちの顔が自然と笑顔になっていました。ロケハンの途中に龍山の駅でとても感じのいいウィスキーのバーを見つけました。ノー検索で街をぐるぐる歩いて、外からのぞいたお店が当たりだとやっぱり嬉しくなる。龍山の駅の周りには、昔の平屋の建物の構造を生かしてリノベーションした良い雰囲気のお店が並んでいて、出会いがいがあります。
ウィスキーが大人気の韓国だけれど、韓国産のウィスキーはどんな味がするんだろう。以前から、ずっと気になっていました。ウィスキー専門のバーならば、もしや置いてあるかもしれないと、一縷の望みを託して聞いてみると、ありますよ〜と言って、オーナーサンが出してくださったのが、기원(キウォン)TIGERという名前のウィスキーでした。ピンクのパッケージにハングルの文字がかわいい。기원(キウォン)とは、願い、祈願という意味の名詞。パッケージの文字を眺めていると、すべての工程で「おいしくなぁれ」とキウォンして作られているような気持ちになる。
ピンクペッパーのきりっとしたスパイスの風味がありつつ、フルーツ甘味とキャラメルの香りのするウィスキーは、ソウルからそんなに距離の離れていない京畿道南楊州市で作られていました。インスタグラムには美しい醸造所の様子も掲載されていました。南楊州の山のふもとの醸造所にも、いつか足を運んでみたい。価格を調べてみると、118,800ウォン。本日のレートで12,743円。TIGERのほかにもUNICORN、EAGLEと味のバリエーションもあるようです。ウィスキー好きの友人へのプレゼントに、まだ珍しい韓国産のウィスキーをお土産にするのも良さそうです。
別の日の昼食タイム。「白と黒のスプーン」というNETFLIXのプログラムですっかり人気になってしまった行きつけの店を目指すも、長蛇の列。あきらめて、京東市場の中を歩いていると、おいしいもの好きで知られる歌手ソン・シギョンさんのYouTubeのプログラムに出てきたマンドゥチョンゴルのお店「대가전골(テガチョンゴル)」を発見。ちょうどお昼のピークタイムが過ぎたところだったので、席は空いている。これは行ってみるしかないでしょうと飛び込んでみると、店の前を素通りしていたのが悔やまれるほど、ねぎ、しいたけ、ひらたけけがたっぷりで、野菜の味の滲み出た出汁がおいしい。赤いけれど辛くないお出汁をすすると、冷えきった体が一気に温まる。この瞬間にいつも思う。冬に食べるチョンゴルは最高だ。大きなマンドゥを頬張るとしっかりお腹が満たされる。鍋の底に横たわっていたカルグクスをお皿にさらって、つるつる口の中に運んだら、もう大満足。焼酎を一本空けたいところだけれど、まだ取材中。そこは我慢。今度は夜に訪れて、焼酎と一緒にいただきたいお鍋でした。
何度も足を運んでいる場所では、どうしてもおいしさを知っている決まったお店に足を運んでしまいがちになるのだけれど、新たなおいしいお店との出会いは旅の一番の醍醐味。取材の合間、スポッと思いがけない贈り物のように出会ったお店たち。またゆっくり訪れたいと思います。
今週も1週間おつかれさまでした。あともう少しでお正月。もうひと頑張り、体調をくずさぬように温かくお過ごしくださいませ。