メリー羊DAY。

もう年の瀬ですね。川の水が浅く、流れの早いところを表す瀬のように、毎日がシュンっとあっという間に過ぎていきます。忘年会という名の食事会を自然に開けるようになったのは、今年に入ってからなんですよね。昨年もあるにはあったけれど、まだどこか遠慮がちに開かれていた気がする。

SAKRAJPのリーダーで木曜担当のぐっさんからメッセージがやってきました。火曜日担当のニホンコンと別のお仕事仲間と池袋に中華を食べに行くんだけれど、一緒にどうと。ぜひぜひとお返事をして店を検索。お店の名前の「永利」はオーナーさんの名前らしい。中国東北家郷料理の店。家郷はかきょう、華僑じゃないんですね。どういう意味なのかな?英語にするとhometown。中国語で、自分が生まれ育った町のことを家郷というんですね。なるほどオーナーさんが東北地方の出身の方なのか。

我が街、代々木上原にもおいしい中国東北料理を出してくれるお店があります。神田の味坊さんの系列で、「蒸籠味坊」という名前の蒸し物が中心のお店。羊肉がとってもおいしい。夜も中国東北料理だっていうこの日のお昼にも、小さなランチ忘年会で「蒸籠味坊」に行ってしまいました。ダブル中国東北料理。どんだけ好きなんでしょう。

ディープな中華料理屋さんの多い池袋。グーグルマップで「永利」の地図を見てみると、駅から少し離れているようです。打ち合わせが予定より早く終わったので、そのまま池袋に移動。食事の約束の時間である18時30分まではあと1時間半ある。

一度お店を見に行ってから、近くのコーヒー屋さんで仕事をしようと、池袋の西口から北に向かってぶらぶら歩く。江古田にある大学に通学していた頃、遊ぶといえば池袋。新宿や渋谷はちょっとハードルが高い。できたばかりのP’PARCOは、おしゃれに興味津々の若者で溢れていて、バイト代を握り締めてヴィヴィアン・ウェストウッドに通った日もあった。そんなパルコの後ろ姿を見ながら線路に沿って歩いて行くと、静かな通りに入る。直進すると半地下で煌々と赤く光る「永利」の看板が見えてきました。お店の外にメニューの写真ががっつりと飾られていて、扉の中はどんな景色が広がっているのか想像のつかない外観。今日のお店を決めてくださった片栁さんは、週3回「永利」で会食という週もあるらしい。おいしいに違いない。のだけれど、なんだかドキドキ。

お店の位置を確かめてから、近隣のコーヒー屋さんを探す。DトールやSバックスはもちろん見当たらず、中国語のメニューが並ぶ、スイーツとバブルティーのお店が1件だけ見つかった。メニューにはコーヒーもあるようで、ホッとしながらホットを注文。costaのコーヒーマシンで抽出されたコーヒーは少し濃い目で、一口飲んだ瞬間に眠気がぶるっと飛んでいく。

約束の時間よりも早めに到着したぐっさんと一緒に「永利」の扉をギーとあけると、お店はほぼ満席。初めて訪れたというよりは、何度も店に来てますという常連さんたちの雰囲気がじわじわと伝わってくる。ぐっさんは一度このお店を経験済み。なんだけれど、注文はこの店を知り尽くしている片栁さんがいらしてからにしようかと言いながら、メニューをめくる。

「全部のメニューに写真があるのが嬉しいね」

見慣れない料理のラインナップに心が躍る。東北料理といえば、やっぱりクミン。羊にはクミンだよね。ところでクミンは中国語でなんていうんだろう。孜然(zīrán)。全く想像と違う音。クミンの原産地はエジプトなんですね。別名、馬芹。クミンはセリ科の植物でした。

しばらくするとSAKRAJP月曜担当のカルロスさんとニホンコンがやってきて、片柳さんとご友人もおいでになった。さぁさぁ頼みましょう。で、何する?

東北料理ならば、干し豆腐は食べたいよね。青唐辛子と干し豆腐と豚肉の炒め物。じゃがいもも外せないから千切り炒めも頼みましょう。唐辛子がきいてて美味しそう。メインの羊は頼まないとね。ラム肉のクミン炒めも注文。メニューを見て気になっていた、薄くしライスした豚肉を揚げて甘酢をかけた酢豚も注文する。

ビールで乾杯。コップが空になる前に料理がじゃんじゃんやって来た。
味付けは、塩と醤油がメインの中国の東北料理。シンプルなのにパンチが効いているように感じるのは大胆に入った青唐辛子やクミンの働きが素晴らしいから。みんなでペロリと平らげて二回戦。この日一番好きだったメニューがやってきた。ラム肉の串揚げ。ごまとクミンがこれでもかとラムに絡みついているところに、さらにサクサクの赤唐辛子をちょんちょんとつけて食べる。他で食べたことのない食べ物。見た目のインパクトがハードなので、ひと目でわぁ、美味しそうとはなりづらいビジュアルをしているのに、ひとつ食べたら次回は口内がおいしさを記憶してじゃんじゃん唾液を出してくる食べ物。これは真似できないやつだ。

程よくお腹がいっぱいになって時計を見ると、子供が塾から帰ってくる時間がせまっている。チャーハンや春雨入りのスープ、東北料理の定番マントウと呼ばれる蒸しパンも次回は必ず注文しよう。

良いお年をと挨拶して、みんなよりも先に店を出る。22時前の山手線はとても混んでいて、しかめっつらの人がとても少なかった。良いお酒を飲んで来たのかな。

23度のあたたかい日もあった12月。ここ最近、急に冷え込んできましたね。子供の学校では風が流行っていて学級閉鎖になるクラスもありました。みなさま、どうぞ体調に気をつけて、お過ごしくださいね。

今週も1週間おつかれさまでした。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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