はじめてみる。

시작이 반이다.(シジャギ パニダ)始まりが半分だ。

韓国語を始めた時に知った、今では座右の銘のような言葉。時間がないから、難しそうだから、もう少し余裕ができたら始めよう。なんて思っているとそのまま一生やらずに終わる。「始めちゃったら半分すんだようなもの」何かを迷っている時、何かやってみたいと思った時。いつも背中を押してくれる言葉です。

暇さえあればSNSでニュースを検索してしまう。Netflixを見るためのスクリーンと化していたテレビも、最近は本来の目的を果たすようになった。今どんなことが起きているか知ることは大切だし、そこから自分の頭で考える時間も大事だけれど。そんな状態の時こそ、頭が無になる時間を強制的に作ることが大切なことも知っている。

こういう時、語学オタクの端くれでよかったなぁと思います。

SAKRAJPで毎週木曜日を担当しているじゅんこさんの記事を読んで、その少し前から湧いていた思いに火がつきました。近所で一番語学書が潤沢に並んでいる渋谷のジュンク堂へ直行。語学の棚に今までなんど通ったことか。ウクライナ語がきっとあるであろう場所はあたりがついている。ありました、ありました。入門書は2種類。分厚い専門書もありましたが、まずはここから。


ウクライナ語の文字は、音を持たない硬音記号も入れて34個。その中で子音字は22個。ハングルと同じく表音文字だけれど、なんて発音するのか皆目検討のつかない文字のほうがどちらかというと多い。

「Б」これは形からなんとなく察しがつきますよね。そうそう「ベー」の音。バ行の子音字。アルファベットのAのような形をした「Д」まったくと言っていいほど想像がつきません。どんな音なのか考えながらじっとみつめていると、なんだかイスに見えてくる…。これ、なんとダ行の子音で「デー」の音なんです。イスの形の発音は「デー」。これで頭に定着。もうひとつ、全く予測のつかなかった音といえば「Ж」。KとKが背中合わせで並んでいるこの音はなんぞや。これもずっと謎だった文字のひとつ。舌をひいて、反り舌気味にして出す「ジ」の音。出ました反り舌。語学の教科書でよく出会う単語「反り舌」。文字通り舌を反って間から息を出す。カタカナで表すなら「ジェー」に近い音。Kの背中合わせは「ジェー」でした。

もうちょっとだけお付き合いくださいね。次は「И」。Nがひっくり返ったようなこちらの文字は母音。文字を見た瞬間「ンー」という音が頭でなってしまいましたが母音。Nの残像にやられて、どうにもこうにも母音の音が出てこない。こちら「ゥイー」という音になるんだそうです。イよりも奥に舌を引き、唇を横にして音を出す。この解説を解読するのが難しい。あ、ハングルの中に似た音がありました。イを発音する時のように口を横に引いてウーの音を出す「으」。この感覚に似ているのかも。「И」と「으」がつながりました。これでたぶん、忘れない。

ひとつひとつ見ていくうちに、ウクライナ語の世界に引き込まれていきます。勉強する前は記号にしか見えなかった文字が、ちゃんと音で飛び出してくる。新しい言語を学ぶ時の醍醐味です。

勉強をひと休みして、お昼ご飯も今日はウクライナ料理。バターが溢れ出るチキンキエフを作ってみます。

材料はこちら。

鶏胸肉。バター。本来はタラゴンという菊科のハーブを使うのですが、近所で売っていなかったので、甘い香りが似ているということでバジル。塩、レモンと衣につける小麦粉、卵、パン粉を用意。
バジルを刻んで、バターと練っていきます。練っている間もいい香り。
やわらかく混ざったらラップでまとめて棒状に。冷蔵庫で冷やすところですが、今日は時間短縮で冷凍庫へ。
塩をふった胸肉をスライスし、叩いて伸ばす。今回は鶏肉が大きめだったので3等分。
もやもやしていることも一緒にバンバン叩く。無心になれるのは、語学を学んでいる時と同じ。
バンバン叩いている間に、バターが固まりました。これをカットして鶏肉でくるんでいきます。
くるくる巻いたらさらにラップでくるみ、少し置いておきます。
小麦粉、卵、パン粉をつけて。
きつね色になるまでからりと揚げます。
じゅわっとバターが出てくることを想定して、ごはんも一緒に盛り付ける。ご飯の上には黒胡椒。
ナイフを入れると、バターがじわっと出てきている大事な部分。伝わってますかー?
本来ならばフライにピントを合わせるところ。いやいやチキンキエフの影の主役はこのバター。流れていくバターがごはんに到達。肉の風味が移ったバターとライス。ぜったいにおいしいと思ったんです。
溢れ出たバターをフライにもたっぷりつけて食べる。タラゴンが本来一番おいしいのだと思うけれど、バジルは大正解でした。肉を噛む度にバジルの甘さと香りが広がります。

お腹が落ち着いたら、また勉強に戻る。韓国語、中国語に続いて加わったウクライナ語。いつか現地で、もしかしたら日本で。上手じゃなくても、自分の思いを自分の言葉で伝えられるように。少しずつ、コツコツやっていきたいと思います。

世界中で、一人でも多くの方がどうかご無事でと祈りながら。今日も読んでいただいてありがとうございました。

みなさま、どうぞよい週末をお過ごしくださいませ。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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