雑誌片手に、街に出る。
雑誌を持って、お店を尋ねる。どのくらい前にやらなくなってしまっただろう。
中学や高校生の時には、Oliveやmc Sisterなどの雑誌を手に持って、原宿・中目黒・代官山・自由が丘の洋服屋さんに友達と繰り出すことが楽しかった。シェラデザインズのマウンテンパーカーやティンバーランドのイエローブーツ、LLビーンのトートバックなど。mc Sisterで当時モデルをしていた川原亜矢子さんや理衣ちゃんが好きで、お気に入りのモデルさんたちが着ているアイテムをお小遣いを貯めて購入したりしていた。そういえば、実家にまだマウンテンパーカーあるかなぁ。もう処分しちゃったっけ。
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先日発売になったばかりのBRUTUSの6月15日号「本当においしいアイスクリーム」特集を見ていたら、そんなことを思い出しました。スマホでさっと検索すれば、営業時間やメニューまで、行きたいお店の情報は全部入っているし、ここから何分で到着と、移動の時間まであっという間に調べることができる。この先の未来にはスマホすらなくなって、体内に入ったチップをぴぴっと押せばその場所までのルートが目の前に現れるなんていう状態になるかもしれない。あえてアナログに戻る必要はもちろんないのだけれど、BRUTUSのページをめくっていたら、なぜか雑誌を持ってお店に行きたくなりました。
今週は雨も少なく暑い日が続いていた。まさにアイスクリーム日和な日が続く。打ち合わせが終わって1軒、翌日に1軒。羽根木と三軒茶屋にあるアイスクリーム屋さんにお邪魔してきました。
今回の特集の28ページに掲載されていた「Bole COFFEE & ICE CREAM」。一番の近い駅は井の頭線の新代田。乗り換えがめんどうだったこともあって、小田急線1本で世田谷代田まで行き、そこから歩くことに。途中、井の頭線の線路を見下ろすと紫陽花が満開。お店のある羽根木インターナショナルガーデンの周りにある竹藪に、風が通る気持ちのいい午後。店内にはすでに2組のお客さんが座っていて、5人連れのお客さんがレジで注文中。遠方から来ているのかと思いきや、お店の方との会話を聞いていると常連さんのようだ。テラス席に荷物を置いて、注文にいく。
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岡山の蒜山ジャージー牛乳をつかったミルク、チョコレート、ピスタチオの3つが定番。加えて季節の果物などをつかった限定の味が5種類ほど。今回は、迷いに迷ってマカダミアナッツ&タヒチバニラをチョイス。通常、バニラは成熟する前に収穫して蒸す工程に入る。タヒチバニラはさやを洗った後に、1か月間毎にち日光にさらし、さらに40日間送風乾燥させるのが特徴なのだとか。 この工程を経ることで他のバニラの品種と比べて、タヒチ産バニラビーンズが高い芳香を放つのだという。コーンに乗ったまぁるいアイスクリーム。カスタードっぽい甘さもあるアイスクリームの中にごろごろ入ったマカダミアンナッツ。ナッツが口に転がるたびに、香ばしさと甘い香りが広がって幸せな気持ちになる。
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子どもが生まれたばかりの頃に住んでいた梅ヶ丘からも近い羽根木。あの頃にこのお店が存在していたら、保育園帰りの自転車でここまで来て、アイスクリームを食べて帰るなんて幸せな時間を過ごせたかもしれない。ページをめくりながら、どたばたした保育園のお迎えを思い出す。
翌日もBRUTUSを持って三軒茶屋まで。下北沢から三軒茶屋に向かうバスの中で巻頭のページを開く。カクテルやビールとジェラートのペアリングが楽しめる「YAYOI TOKYO」。お店の住所を確認すると、前の前の仕事の時に住んでいた太子堂の文字。お店に近いバス停のふたつ手前で降車ボタンを押して、久しぶりに三軒茶屋の街を歩く。住んでいた当時の仕事は、ほとんど車移動の日々。決まった休日もなく、ゆっくり三茶の街中を楽しむ余裕がなかったことが悔やまれるほど、気になる食材店や飲食店がたくさん。目移りしながら歩いていると、電柱に貼り付けられた住所が太子堂の2丁目を指している。この近くだと角を曲がるとすぐにお店が見えてきました。
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白い外観のお店を開けると右側にアイスクリームケースが並んでいて、その横には冷えたビールが詰まった小さな冷蔵庫。「YAYOI TOKYO」の掲載されているBRUTUSも置かれている。カクテルとジェラートのペアリングも捨て難かったけれど、今日はビールを選択。ギネスビールとショコラのジェラートの組み合わせにするか、アサヒのスーパードライとヨーグルトとハニーのジェラートにするか。迷っているとBRUTUSで拝見をしていたパティシエの大塚さん(ビジュアルからしておそらく!)が声をかけてくださった。
「ヨーグルトの方はビールの麦からパンをイメージして、朝食のパンとヨーグルトという出発点でペアリングをしたらどうかなと考えたんです。召し上がっていただいた皆さんからは、この組み合わせマッコリっぽいというご意見が多くて、なるほどって思ってます。」
マッコリという単語を聞いてしまったからには、注文しないわけにはいかない。シルバーの器に砕いたクッキー、その上にヨーグルトのジェラート、仕上げにハチミツがとろりとかかっている。うすはりのグラスにたっぷり注がれた冷えたビールが一緒に運ばれてきた。ジェラートが先か、ビールが先か。迷い箸のように頭を行ったり来たりさせながら、まずはジェラートをひと口。ハチミツのつんとする甘みとヨーグルトの酸味がおいしい。その隙間に香ばしいクッキーの食感。ゆっくりこの冷たい甘さを楽しみたいとも思うのだけれど、今日はビールも主役。すぐにビールを手にとり、少しずつ口の中に運ぶ。確かに。ビールのフルーティーな苦味とヨーグルトの酸味が合わさると、鼻を抜ける香りがマッコリの雰囲気を醸し出す。それぞれ単体でもおいしいデザートと飲み物だけれど、一緒に味わうと面白さが生まれる。次はピスタチオのジェラートとモスコ・ミュールのペアリングも試してみたい。
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ページをめくり、次回の訪問はいつにしようか考え始めると、雑誌を持って街を歩き、次はここに行ってみようかと、道の端っこで友だちと相談をしていた学生時代がふと戻ってくる。
まだまだ暑くなりそうな土曜日。アイスクリームで休憩はいかがでしょうか。
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こいけはこれから、子どもの高校の保護者会に行ってまいります。皆様、今週も一週間おつかれさまでした。