世界を広げてくれる、センスのいい言葉。

センスという言葉。

洋服のセンス、味のセンス、言葉のセンス、空間のセンス、創作をする時のセンス。いろんな場面で使いますが、ただおしゃれとか、雰囲気がいいということだけでなく、こういう言葉に出会った時こそ「センスがいい」と言いたくなるフレーズに出会いました。

ラジオのDJとしてご活躍をされ、執筆や朗読など幅広く活動をされていらっしゃるクリス智子さんの作る空間「Cafune」のお手伝いを、今年の春からさせていただいているのですが、秋にPOP UPイベントを行うことになりました。

出発点は、陶芸家林彩子さんの青い色がとての印象的な花器でした。その後、ガラス作家の小西潮さんと江波冨士子さんに青というテーマで作品をお作りいただけることになり、さまざまな準備を考えると、イベント開催の時期は11月になる。そこでクリスさんが「11月の青」という言葉をぽんと投げてくださいました。

Cafuneのある場所は鎌倉。今回のイベントも鎌倉のアヤメという場所をお借りして行うのですが、鎌倉で青というと、ぱっと浮かぶのは夏。夏の海の色が直感的に映像として目の前に浮かんでくるのですが、「11月の青」と言われると、まずどんな色なのかがとても気になりました。深い青なのか、秋の澄んだ空の色が海に映った爽やかな薄い青なのか。はたまた木々が色づき始める前の、深い緑色に近いような青なのか。青の前に11月がつくだけで、考えたことのなかった青のバリエーションが次々に頭に浮かんできます。

光について調べてみると、夏の日中の光は色温度が高いため白っぽい光になり、秋の光は色温度が低くなり、暖かい色になる。太陽の位置が低くなることで、光が大気の中を通過する時間が長くなり、波長の長い赤や橙色の光が優勢になるために、夕方の空が赤く見えるのだそうです。そう、秋というと青よりも赤いイメージですよね。

だから余計に「11月の青」がどんな青なのか、気になってくるのかもしれません。

朝晩の気温がやっと下がってきましたが、みなさんは「11月の青」というとどんな色を想像されるでしょうか。私の中では、グレーに近い青が一番しっくりきています。一年の終わりが近づいている11月。今年もおつかれさまという意味で、ブルーグレーの大きな毛布でふんわり世界を包んであげたいそんな気持ちにもなるし、年末まであと一踏ん張りの時期でもあるから、忙しい合間にちょっと遠くの空の青を眺める余裕を持ちたい時期でもある。海が近ければ、お天気のはっきりしない日でもブルーグレーの海が引いたり満ちたりする砂浜を、サクッサクッと踏みしめながら歩いて自分を労る。そんな青が頭に浮かびました。

「11月の青」クリスさんの投げてくださったひとつの言葉から、いろんな景色を想像しました。センスのいい何かに出会うと、そこからまた違う世界が広がっていくから不思議です。

年末に向けて、お忙しい時期かと思いますが
お時間がございましたらぜひイベントにも遊びにいらしてください。

11月2日(土)11時〜19時まで
鎌倉駅から徒歩10分の「アヤメ」というスペースで『11月の青』開催いたします。
夕方には詩人の菅原敏さんとクリス智子さんの「青」にまつわる言葉の朗読の時間もございます。予約などはなく、どなたでもお入りいただけますのでよろしかったらぜひ!お待ちしております。

今週も一週間おつかれさまでした。小池はこれからこどもの吹奏楽の演奏会に行ってきます。
食欲の秋、読書の秋、音楽の秋でもありますね。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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