今年も一年おつかれさまでした。

2025年はどんな年になるかなと、去年の今頃思っていた記憶があります。
皆さんにとって、どんな一年でしたか?

少しでも自分の中で何かが進化したり、新しいことができた年だったかな。わたしはといいますと。1/3はYesで、2/3はNoかもしれない。

Yesだったこと。

自分の中でいつでも現在進行形で、していたいことのひとつ、韓国と日本を行ったりきたりできる機会を増やすこと。自発的にというよりも、声をかけていただくお仕事のおかげで、「ing」でいられた年だったと思う。ご一緒させていただいた皆様に、感謝しかない。仕事の機会をいただけたおかげで、ただ旅をするだけなら考えずに通り過ぎていたものごとについて調べ、新たに出会う言葉について常に学習し続ける機会をいただいた、ありがたい一年でもありました。

Noだったこと。

宿題のようにずっと持ち続けている、会社として自発的なコンテンツを作ることについて、今年は現状維持で、新しいものを生み出すことがほとんどできていない一年だった。何かを思いついても、すぐに動けない理由の方を考えてしまうことの方が多かった年だったとも言える。60%でもまずスタートして、走りながら、動きながら修正をしていくほうがいいと頭でわかっていても、ぐずぐずしてしまったなぁと反省。2026年はもっとフットワークを軽くしたいと心から願う。いや、願うではなく、決める。

そんな中で2025年、心底ありがたかったことは、人とのご縁。年齢に関係なく、職種に関係なく。仕事に対する姿勢と人柄、その方々の生み出すものまで。こんなことを思いつくなんて。こんな風にすみずみまで考えているなんて。忙しい日々の中で、こんなふうに心を尽くして、言葉を伝えてくださるなんて。その方の仕事の範疇を超えて、いや、ともすれば名前のついた仕事以上の部分にこそ、人の心を動かす種が詰まっているのかもしれないのだけれど、またどこかで、何かでご一緒できたらと感じる方とのご縁がたくさんあったことが、2025年の一番の財産かもしれません。

長くご一緒させていただいている方もしかり、新たに出会った方もしかり。

記憶に残り続けるのは、はでなパフォーマンスよりも、細部に宿っている。そんなことを目の前で見て、感じることの多かった一年。どんなジャンルの仕事でも、こつこつ真剣に積み上げられた「今」の集積に感情をうごかされ、笑ったり、涙したり、目を閉じて味わったりする年でした。

今年最後に訪れたソウルで、友人ダソムと偶然入ったソギョドンにあるチキンの店。オリジナルのフライドチキンと生ビールを注文し、店内を見渡すと、平日の夜22時をすぎているのにお客さんで満席。

「この時間にこんなに人が入っているってことは、おいしいお店みたいだね」と話しながら、壁にかけられた写真が目に入りました。そこには「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」というドラマのワンシーンが写っていました。人生の中で5本の指に入る、自分の人生に影響を与えたドラマが撮影された店に、偶然、年末に訪れたことになんだか不思議な縁を感じました。

記憶に残るセリフがたくさんあるドラマ。その中でも、イ・ソンギュン演じる主人公のドンフンが、IU演じるジアンに語りかける「아무 것도 아냐.(アムゴット アニャ)」という言葉がいつも最初に頭に浮かびます。

ジアンの過去に起きた出来事を知らない時には親しく過ごしていた人たちが、過去にどんな出来事があったかを知った途端に葛藤し、どうやってこの子から離れようという視線になるのだと話すジアンに、「君が大したことだと受け取ったら、他の人々も大したことだと考える。君が深刻に受け取ったら、他人も深刻に考える。全ての出来事がそういうものだ。いつだって、君自身が先だ。昔にあったことは、どうってことないことだよ。君がどうってことないと思えば、どうってことないことになる。名前(ジアン=智安 知恵があり、人々に安心感を与える人)の通りに生きていきなさい」とドンフンが投げかける。

このチキン屋さんが出てくるシーンを探しながらドラマを見返し、たくさんのセリフを味わい直すのも、年末年始のいい過ごし方かもしれない。

考えすぎて動けなかった2025年の2/3。「아무 것도 아냐.(アムゴット アニャ)」を常に頭におきながら、2026年は軽やかに歩を進めたい。カリッカリの衣がおいしいチキンをかじりながら、2025年、動けなかったNoの部分をビールでごくりと流し込みました。

みなさまの2026年が、おいしく、明るい一年となりますように。2025年もありがとうございました。どうぞ、よいお年をお迎えください。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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