シンプルイズベスト。
先日、ひさしぶりに訪れたソウルで
シンプルだけれど朝の気分にぴったりなおいしいお店を見つけました。
定宿になっている鍾路3街にあるベニューGというホテルの裏手にある「トッペギチッ」で朝ごはんを食べようと歩いていると「콩(コン)」と一文字書かれた潔い看板に出会いました。お酒を飲んだ日の次の朝に最適なコンナムルクッは豆もやしのたっぷり入った澄んだスープ。そして、豆もやしがたっぷりのったごはんのコンナムルパップがお店の代表的なメニューのようです。
韓国には、酔い覚まし「해장(ヘジャン)」をしてくれる食べ物がたくさんあります。해장(ヘジャン)という文字には「解酲、解腸」という漢字が対応しているんです。酔いを覚ます、腸を解きほぐしてくれる食べ物。ヘジャンな食べ物の中にはさまざまなスープ類がありますが、その中でもコンナムルクッは豆もやしに含まれる消化酵素アミラーゼと、食物繊維が胃腸の働きを助けてくれるためかなり強力な「해장(ヘジャン)」な食べ物というわけでございます。

コンナムルクッ、コンナムルパップは全州(チョンジュ)という場所の郷土料理。ソウルから南へ約230キロ。全羅北道にある全州はビビンバ発祥の地としても有名で、ビビンバは国の無形文化財にも指定されています。
話を戻しまして、定宿のそばで出会ったこちらのお店。お母さんが一人で切り盛りする清潔な店内に入ると、地元のおじさんたちがすでに해장(ヘジャン)をするために、もやしのスープをすすっていました。いい具合にお腹も空いていたので、もやしのスープとごはんの両方を注文すると、すぐにスープもごはんもテーブルにやってきました。
「ごはんにはこのヤンニョムをかけて、よく混ぜて食べてくださいね」
醤油ベースのヤンニョムを海苔のたっぷりかかったもやしの上にふた回し。スッカラでサクサクと混ぜて口に運ぶ。ごはんともやしの割合がほぼ1:1。ポリポリとかみごたえのあるもやしにごはんの甘みが時折まざって、口の中もたのしくおいしい。続いて、澄んだもやしのスープを一口。あぁ、시원하다(シウォナダ)。一気に口の中がすっきりして、スープが胃にじわりと届く。日本にも味噌汁があって、食卓にスープが登場する回数は多い方だと思うのだけれど、韓国のスープ好きには敵わないなぁと、この国で食事をするたびに実感する。
もやしonもやしだけれど、あっさりと漬けられたキムチをリズミカルにはさみながら、飽きずに平らげました。
シンプルな食事が旅の朝には最高に嬉しい。さらに、よく滞在するホテルの近くで、こういうお店を見つけられるのは해운(ヘウン)だ。해운に対応する漢字は「幸運」。シンプルイズベスト。これから行きつけの朝ごはん屋さんになりそうです。
お店の外に出て、店名の看板をもう一度ながめると「행복한 콩 이야기(ヘンボッカン コン イヤギ)」と書かれていました。幸せなもやしの話。なんてかわいいお店の名前。やはりこのお店に出会ったのは해운(幸運)でした。
まだまだ暑さがやわらぐ気配は感じられませんが、しっかり食べて、残りの夏を乗り切りましょう。今週も一週間おつかれさまでした。
