コードヴァンとプリンおじさん

こんにちわー。ムトーです。

まだそんなにエアコンに頼ることなく眠れていますが、だんだん夏っぽくなっています。雨が多いけど。あ、それが梅雨か。

最近よく言っているけどれど、僕の趣味は「革靴と喫茶」。

村上春樹とコードヴァン

いつもSNSでいろんな人の革靴自慢投稿を眺めて「はあ、いいなあ」とかため息ついたり、靴磨きの動画を見て真似してみたり。

ずっと靴を磨いていたい

革靴は基本的に雨に濡れないに越したことはないんですけど、中でも絶対に濡らしてはいけないと言われるコードバンという革があって、その革を使った靴はもう革靴好きには憧れの靴なんですよ。梅雨は絶対に履けないから、梅雨が明けるとSNSに「やっと久しぶりにコードバン履いて出社!」みたいな投稿が増えます。

村上春樹さんの小説を読んだことあります?村上さんの作品の主人公の人となりを表すのに、持っている車や身につけているものを説明するシーンが結構あるんですけど、その中に「コードバ(ヴァ)ンの靴」って出てくるんです。3つくらいの作品で。

僕が学生時代に村上さんの初期作品を読んで「コードヴァン」の文字を見た時には「きっと高いもの」くらいの感じで流していて。

僕が大人になってから出版された「1Q84」にも「コードバン」(初期作品では「バ」、1Q84では「ヴァ」と表記されている)の文字を見つけたので、さすがにどんなものか気になって調べました。「馬の臀部の革」。なるほど。「革のダイヤモンド」とも言われているものだとわかりました。

で、ここ数年、革靴にハマって、コードバンというものがどういうものかさらにわかって来て、村上さんの初期作品の中の主人公が学生でコードバンを履いていることって、その主人公を知る上でけっこう重要なポイントだな、とかって思って。主人公は僕が最初に読んで感じた人物よりももっと「すごくキザで生意気なおしゃれ若造」なんですよ。しかも雨に濡れてはいけないんですよ。昔、作品を読んだときにはその知識は僕にはなかった。「もしかして、雨のシーンとかあったりするのかな!?」なんて思って読み返したりしました。

はー、面白いよう。あ、、すみません、僕だけ??

プリンおじさん

趣味のもうひとつ、「喫茶」。喫茶店にも行くし、コーヒー専門店にも行くし。

時間があれば行く。ひとりで。

あなたが(喫茶)してくれなくても。

喫茶店もコーヒー専門店もコーヒーに合うスイーツを置くじゃないですか。

最近よく目にするのがプリン。かたいやつ。昔ながらの。

正直コーヒーには全然合わないと思うんです。プリン。10歳の時に既にインスタントコーヒーとレギュラーコーヒーの「違いがわかる男」だった僕から言わせると全く合わない(超個人的感想です。お菓子とかコーヒーのプロが合うって言ったらそっちが正しいです。)。プリンの「たまご臭さ」が引き立ってしまう。コーヒーと玉子サンドだと気にならないけど、プリンが相手だと気になっちゃう。

玉子サンドは玉子って正直に言ってるからな。それに比べてプリンはほぼ玉子でほぼ茶碗蒸しなのに洋菓子顔してるから、その不誠実さみたいなものがコーヒーで暴かれるのかもしれない。(なに言ってんの)

でも、なぜ喫茶店やコーヒー専門店にプリンが置いてあるのか。

「コーヒーには合わないけど、場(シチュエーション)として合うから。」

これでしょう。答えは(全然違ったらごめんなさい)。あって欲しいもの、プリン。食べなかったとしても、メニューに載っててほしいもの。だから、仕方ないじゃない。

固そうなプリンがあったら注文する。

これが最近、僕が自分自身に課したルールです。ダイエットをしながらこのルールを守るのはとても難しいことです。でも、ルールは絶対なので、ダイエットが多少疎かになろうとも、コミットが遅れようとも、僕は心を鬼にしてプリンを頼むのです。仕方ない。うん。

でも、僕の住む大分には固そうなプリンを出すお店が少ないのです。

じゃあ、自分で作るしかない。

そうなりますよね。

固そうなプリンがあったら注文する。

なければ食べなくていい。確かにルールはそうも読めます(そうとしか読めない)。でも、そんなことでいいのかな(いい)。そうじゃないでしょう。ルールって時には壊していかないと。新しい時代っていつだってそういうルールに縛られなかった奴がつくってきたんですよ。

だから、僕も、つくる。プリンの新時代を。

ということで、新時代はつくらないけども、プリンづくりを始めました。

このムトーツアーズを書かせてもらっているSAKRA.JPの連載メンバーには「佐藤の台所」の佐藤家や「こいけはなえの気になるもの」のこいけさんのように、お菓子や食べ物のしごとをしているプロたちがいるんですけども。

そこに堂々と45のおじさんがプリンを作り始めたことを書いてみるというこの勇気。なかなかのもんですよ。

まずは、プリンの本を買います。大分の本屋さんをいくつか巡ったけど、1冊だけプリンに特化したレシピ本を見つけました。それを購入。

作りたいタイプのプリンの材料は、砂糖と玉子と牛乳とバニラビーンズ。

家にバニラビーンズだけないので買いに言って。

さ、作ろう。大きい型がないけどなぜか小さなプリン型がある。まずはそれで作ってみます。レシピに忠実に。

まずはカラメルから。そういえば以前もプリンを作ろうとして、カラメル作って味見しよう

と指に垂らして1週間激痛に泣いたくらいの火傷をしたことがあったので、今回は慎重に(すげードジ)。

おー、火傷せずにそれっぽいの出来たよ。

次はプリン液。熱しすぎない、50度以下。なるほど、玉子だからな。これをプリン型に流して。

ほうほう。オーブンで蒸し焼きみたいにすんのね。150度で25分。

お、いい感じじゃん!

わー、なんかいいぞ。これを冷蔵庫に入れて。冷まして。

冷えたな。よし。お皿に載せよう。

せーの!

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

プリンじゃん!

はーーーーーー!もう、世界で一番美味しいのできた。

2個食べた。

次は大きいの作りたい。丸いやつ。ホールで作って、それを三角に切り分けて食べたい。

ということで、その3日後。

夜中の2時くらいに目が覚めたのでプリンを作りました。

その前の日、大きいプリン型を探したけど見つけられなくて、ケーキ型を100円ショップで購入したのです。ケーキ型とプリン型、同じもの?まあ、いいかとりあえず、ケーキ型で作ってみよう。

前につくった小さなプリン型の量だと、今回の大きな型の半分の量でしかないので、倍の量のプリン液を作って。カラメルは前回と同じ量でちょうどよさそうな気がする。

型にいれるとちょうど理想の高さまでプリン液で満たされた。

焼く時間がわからない。プリンの本を開いて、大きいプリンのレシピを見ると、今回のと同じ分量で作ってる。その本に従って150度で50分で焼く。

心配でオーブンの前に椅子を置いて、ずっと中を見守る。

グラタンみたいにグツグツならないし、焦げ目もつかないから変化が全くわからない。ただ見つめる。

お、焼けた!

表面を触るといい弾力。えー、いいんじゃん、これ。

扇風機を使って粗熱を取る。冷蔵庫に入れたのは午前4時。

さ、寝て起きたらたべよう。おやすみ、プリン。

出来上がりが楽しみすぎて6時に目が覚める。冷蔵庫でプリン型に触れるとまだなんか少しあったかい気がする(当たり前)。

朝食をつくったり食べたりして時間を潰して。

8時にプリンを取り出して、我が家にある一番大きいお皿にくるりんぱした。

お、お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

ぷ、ぷ、プリンやん!!!!!

美しすぎるやん

完璧!

と声に出して側面も見てみる。

ん。

なんか、ポコポコと穴が空いてるな。

切ったら中まで穴が。

トムとジェリーのチーズみたい。

これが「すがが入る」という失敗のようです。茶碗蒸しでもある失敗。

見た目と食感が悪くなるから失敗。

味は全く問題ない。美味しくできた。食感も悪くない。

でも、やっぱり「す」が入っていなければもっと滑らかで美味しいのかもしれない。

僕がこれをインスタグラムのストーリーにアップしたところ、それを見た大分市のフレンチのシェフが「大きい型で作るときは小さい型で作るときよりも気長にやる感じで、、」とアドバイスのメッセージをくださったりして。

はー、上手くなりたい(何のために)。

まずは「す」を無くす。あ、「す」を無く。

また週末作るぞ。

精進します!

あ、精進しま!!

妄想旅行社ムトーツアーズ 代表 ムトー

ムトーツアーズ

(隔週月曜日更新)
大分県に住んでいます。大分に遊びや仕事に来た人を案内することにヨロコビを覚える男です。