#27 歩く旅

こんにちわー。ムトーです。
よし。やっと(ぼくの)正月が明けた。

さて。リアルな方のムトーツアーズをやってきました。

豊後大野市(ぶんごおおのし)の朝地町(あさじまち)に「朝地駅」というJRの無人駅があります。
JRの駅としては無人なんだけど、駅舎に朝地町の観光案内所があって、そこにひとりスタッフがいる。

なぜ観光案内所があるのか。それは、この駅が人気のトレッキングコースのスタート地点だからです。

「オルレ」

韓国済州島で生まれたトレッキング「済州オルレ」。オルレとは「家に帰る狭い路地」の意味の言葉。車が沢山走るような道路ではなく、山道や畦道を自分のペースで歩きます。青と赤のリボン、矢印を目印にゴールを目指します。

その日本の九州版が「九州オルレ」。

豊後大野市朝地町スタートでゴールはお隣の竹田市。この全長約12キロのコースは「九州オルレ奥豊後コース」。いまは全部で21コースある九州オルレの、最初に認定されたコースのひとつなんです。

コロナ前は、韓国からオルレを歩くために、この無人駅にやってくる人が多かったんです。でも、こういう状況でなかなか人も来ない。

朝地駅を中心にもっと人が集まる仕組み、そしてオルレや朝地町に活気を生み出すためのプロジェクトを地元のひとたちが進めています。

そのプロジェクトのひとつとして、オルレのツアー商品としての可能性を探る、というものがありまして。このプロジェクトに関わっている「地域科学研究所」さんのPUBLIC +チームの西田さんから、ムトーツアーズでテストツアーをやってくれまいか、と声がかかったのです。

はい。やります。

僕にとっては朝地町も竹田市も、ホームアンドアウェーで言うとホーム。

ここでムトーツアーズが面白くできなかったら、(妄想)旅行社失格だな。

この依頼をいただいたときには、まだ東京などに緊急事態宣言が出されていなくて、大分県もそんなに感染者が増えていなかった時期だったので、参加者を募集しようと思っていたんですが、どんどん状況が変わり、募集はおこなわず、プロジェクトメンバーなど身近なところに声をかけて催行したのです。

前段長くなりましたが、写真をお借りしながら(また自分でほとんど撮ってない)、当日のこと、オルレの魅力をお伝えしていこうと思います。ざっくりね。

少数 Say Yeah!

日曜日の朝9時45分に朝地駅に集合。各自JRや車で。

オルレは一人でも歩くことができるようになっているんですが、「オルレガイド」さんがいまして、今回は誘導してもらいました。僕が、、ガイドできる自信がなかったので、、、。

そして、約10年前、オルレコースをこの地に作るべく、「本当に文字通り」その道を切り開いた当時の豊後大野市観光協会の長吉さんも同行してくださることになりました。

オルレについての簡単なレクチャーをガイドさんたちにしてもらい、記念撮影をして午前10時スタート。

ムトーツアーズの説明中。隣で見守る「やきそばDKケン太郎」
JR朝地駅の前で出発前の記念撮影

プロジェクトメンバーや、そのお子さんたちで合計14人。服装は様々。

スタートして5分後には舗装されていない道に。
100メートルくらいの間隔で目印のリボンが付けられている。

なだらかな起伏。運動不足で、体重過多の僕にはきついんだけど、未舗装の道は柔らかくて足がつかれない感じ。空気は澄んでいて、たまに最後尾に行って、後ろを向いてマスクを外すと空気が美味しい。(お前は全くガイドをしないのか)

ガイドさんは道案内だけでなく、道中のいろいろな景色やスポットの説明をしてくれます。これ、僕ができたらいいんだろうけど、僕には無理。僕は基本的にツアー参加者に質問されたらググって答えるので(いるのか、、)。ガイドさんがいると歩く旅もさらに豊かなものになります。初めての方は、ガイドさんに同行をお願いするといいかも(有料です)。

キッズたちは、あちこち行ったりして、実際の距離の倍くらい歩いてるかも。
用作公園(ゆうじゃくこうえん)。大分県を代表する紅葉の名所もコースの見所のひとつ。

スタートから40分くらいで用作公園という紅葉の名所を通ります。そしてスタートから1時間半くらいで、朝地町のもうひとつの観光スポットにたどり着きます。観光スポットなど立ち寄らなくてもじゅうぶん楽しいんだけど、ここはぜひ行って欲しいところ。普光寺(ふこうじ)というお寺です。

583年に建立されたと言われる古刹なんです。

和尚の瀧本さんが普光寺の歴史などを教えてくださいました。

普光寺 瀧本和尚

この普光寺には巨大な磨崖仏(岸壁に彫った仏像)があるのです。

写真左下に見えます?磨崖仏。

日本最大級の高さの磨崖仏。ここを訪れたひとは、この景色を見た瞬間、驚嘆の声を上げます。みんな。それくらいの迫力。

ほらでかい。写真の右側に人がいるのがわかりますか?12、3メートルくらいの高さ。でね、瀧本和尚がこの日、体験させてくれたのが「阿字観(あじかん)」という真言密教の瞑想。この巨大な磨崖仏と並んで無になる。

ね。すご。ここでしかできない体験。事前に予約すればこの阿字観体験できますよ(有料です)。

瀧本和尚、貴重な体験、ありがとうございました。

阿字観を終えると、ちょうどお昼の時間。お寺の駐車場にある小屋をお借りして昼食。

九州オルレ奥豊後コースでは通常、各自お弁当をリュックに入れて持ってきたり、スタート地点の案内所に事前に注文してお昼前にお弁当をここの小屋まで届けてもらったりしてお昼を摂ります。昼食を食べないといけないわけではなくて。休まずに進んでもいいんです。でも、お腹減った。。

やったー!昼食!

ムトーツアーズ代表の僕。誰よりも息を切らして歩いて、何の案内もせず、ここまで全く見せ場なし。お昼ご飯くらいは見せ場を作りたい。

と、いうことで。ホームゲームの利点を生かして、お友だちのお店に出張してもらいました。

無理を承知でお願いしたら引き受けてくれたカフェのオーナー。

以前、このムトーツアーズでインタビューさせてもらった、豊後大野市の「カフェ・パラム」の小野さん

熱々の豆腐チゲとキンパ(韓国の巻き寿司)を持ってきてくれました。

小屋の中。団体で予約すれば昼食会場として開けてくれます。

そして。

予約の時に、子どもの参加者がいる、と伝えていたら、モバイルの窯でピザを焼いて振る舞ってくれました。小野さんありがとうございました!

僕は、ピザをうまく切れなかった。。不器用すぎて。。

ひゃー。もう最高の昼食。僕、もう、ここでゴールでいい。。けど、まだ半分も歩いていない。。

心臓破り

さ、後半。お腹パンパンで再スタート。

後半が本番

後半は、アップダウンがちょっと激しくなります。

さ、竹田市に入りました。

きついところもあるけど、少し頑張るといい景色が見られたり。終始飽きずに歩けそう。

最後の難関。心臓破りの坂を走るひとたち。
心臓破りの坂の終点

心臓破りの坂をひいひい言いながら登ると、竹田市の観光名所である「岡城跡(址)」。「岡城」は作曲家 滝廉太郎の「荒城の月」のモデルとなったとされるお城の跡。

滝さん
岡城からの見晴らし最高。

岡城跡、超かっこいいっす。

この広大な城跡を下ると、竹田市の城下町です。

フィナーレ

武家屋敷などを通って、途中、江戸時代からやっている老舗の和菓子屋さんに立ち寄ったりしながら、ゴールを目指します。城下町に入っても、ずっとリボンと看板が行き先を教えてくれます。

あとちょっとなんで、もう、ゴールしてもいいんだけど。

せっかくなので、ちょっと休憩しましょう。ムトーツアーズなので。

ムトーツアーズのために、普段、開いていない時間に開けてくれたお店。

Osteria e Bar RecaD(オステリア・エ ・バール・リカド)のオーナー。桑ちゃん。僕のことが大好きなのか、わざわざお店を開けてくれて。おつまみorケーキと飲み物のセットを提供してくれました。密にならならず、長居しないように、「ひっかけて」帰るイメージで。

ソーセージとポテサラ
リカド向かいのお店「常連」の店主せいかさん。

リカドの向かいのお店「常連」さんが店前に出している、おでん屋台もわざわざムトーツアーズの参加者のために開店時間を前倒ししてくれて。
これは、なかなかゴールにたどり着かん。。。

この一連のカッコいい写真を撮った人。※まだゴールしてません。

竹田の城下町の皆さんのご好意を存分に味わって。

ゴール

ついにゴール。休憩も入れてスタートから6時間くらいかな。キッズたち、元気。よく頑張りました。

ちょっと暗くなって、僕ムトーと、以前ムトーツアーズで焼きそば屋さんを紹介してくれたオシャレ大工「やきそばDKケン太郎」こと健太郎君も無事生きてゴール。「こんな休日の過ごし方初めてっす。ちょっと、ハマりそう。」と呟いたのを聞き逃しませんでした。

僕の判断ミスでゴール前にリカドとかおでんやさんに立ち寄ったために、ゴールがバラバラになって。。ゴールで集合写真が撮れませんでした。しまった。。。

でも、みなさん楽しんでいただけたらしく。九州オルレ奥豊後コース、やっぱり最高に楽しいかも。

また企画します。

ご協力いただいたお店の皆さん。朝地町観光推進協議会のみなさん。プロジェクトメンバーのみなさん。そして、ツアーに参加してくれたみなさん。
本当にありがとございました。

オルレも朝地駅も盛り上げられそう。

妄想旅行社ムトーツアーズ 代表 ムトー

【special thanks】 写真提供(今回の写真の99%が西田さん撮影のもの)
西田稔彦
(公共不動産ディレクター)

ムトーツアーズ

(隔週月曜日更新)
大分県に住んでいます。大分に遊びや仕事に来た人を案内することにヨロコビを覚える男です。