春の山でパン祭り
普段は見向きもしないのに、無性に食べたくなることがあります。そう、それはパン。数日にわたり、パン熱が冷めないとなると、それはもうパン祭りであります。そのまま放置しておけば、季節外れの雪のように欲求は消えてしまうのですが、今回はそんな衝動に従って、ふかふかの食パンを片手に山へ行ってきました。
用意したのは、おいしい食パン。天然酵母を使っているようです。詳しいことはわかりませんが、天然ものは養殖よりもおいしいはずです。それをスケール感あふれる山に持っていけば、おいしさジャンプアップ。さらには重い荷物を背負っていくことで、空腹という至上のスパイスも楽々ゲット。行く前から美味なることは確定でした。
1泊2日のテント泊ということで、うれしいことに夜、朝に分けて食べられます。ならばと、1斤まるごと投入。これだけあれば、いろんな食べ方ができるはず。ふっくらしたパンのように夢はふくらみます。
問題は輸送方法。ザックに詰めようとすると、どうしても潰れてしまいそう。大切なものは、しっかりとその手につかんで離すな。何かの歌詞に出てきそうな表現です、知らんけど。
ということで、パンがわしづかみにして歩くことに。
急斜面や足場の悪い区間でもパンを潰さないようにつかみ続けるという、なかなかのワイルドなスタイルです。そのワイルドさですれ違う女性の心をわしづかみにできないかと淡い期待を寄せてみたり、みなかったり。そんな余計なことを考えたところで実際のところは、心惹かれる人はおらず、どちらかというと単純に引かれていたようでした。無念。
テント場に到着して、荷物を解いて準備を進めます。すべてはおいしいパンのため。食べ終えたら寝るだけという状態まで整えてしまい、いよいよ調理です。
と、ここまで書いてから気づいたのですが、調理中の写真を撮っていない。おいしく食べたいあまり、夢中になっていたようです……。唯一あったのがこの1枚。
数年ぶりに食パンを買ったくせに、朝食はいつもパンです的な表情。
おいしくいただき、1斤をぺろりと完食。食べ終わってしまうと、なんであんなに食べたかったのかと、うっすら疑問が浮かばないでもないです。それがパン祭りというもの。終わってから色々と考えるのは後の祭りなのでした。
パンのように話題は膨らんだのかわかりませんが、以上が私的パン祭りの顛末です。おつかれ山でした!