日本列島をひとつなぎにしたい

今回も日本列島を縦走するチャレンジに関してです。前回はこちら。以下のテキストに感じるものがある方はぜひお声がけくださいー。一緒に旅をつくりあげてくれるフロンティア精神にあふれる方を募っております!感じるものがなくとも、メッセージ、SNSでのシェア、さまざまな形でのサポート、物品提供、資金提供、スマイルなどお待ちしております。

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日本列島の山々を走り、国をひとつなぎにするロングトレイルをつくりたい。

北海道から鹿児島、沖縄まで、夏を駆け抜ける。総距離は4,000km超、獲得標高も10万mを優に超える。数字を記したところであまり意味をなさない。レースでも、タイムアタックでもない。自然と自分自身に挑み続けるのみである。

とてもシンプルで鮮やかな日々になる。それは分かっている。考えただけでも心が躍る。山々の素晴らしい風景、多様な動植物、人との出会い。五感の全てを使う旅が待っている。

2本の脚ですべてを踏破するだけでなく、その足跡を残しておきたい。
小さな足跡にすぎないとしても、記録として残しておけば、誰かが後をたどることができる。1人よりも2人、3人と踏まれていけば、道は固く確かなものになっていく。ロングトレイルは踏まれることで洗練され、魅力的になる。

ちっぽけな1人の歩みは、大きな道に変わる可能性が秘められている。物好きのチャレンジで終わるのではなく、多くの人が携われる取り組みになりうるのだ。時を超えてつくりあげていく壮大なプロジェクト。その始まりとなる挑戦である。

大きな風呂敷を広げてはいるが、そもそも僕は自分のやりたいことができればいいという性分で、誰かとつくりあげるよりも、自己完結できる方が性に合っているし、気楽でいい。ずっとそう考えてきた。

今回のように、人を巻き込んでやりたいと考えるに至ったのは、2年前に本州の山々をつないで縦断した体験がある。2カ月、3000kmにおよぶ旅を通じて、助けてくれる人の優しさを感じ、道なき道を行く苦労、隙あらば自然に還ろうとする道とそれを保とうとする人の営みに触れることができた。忘れられない思い出だ。

そして体感した。登山道は、何もせずに残っているのではなく、人が行き来することで、手を入れることで保たれている。頭でわかっているようでも、自分の体を使って感じると理解に大きな差が生まれる。この道は昔から多くの人によって守られてきたと、身を持って知ることができた。

自分がたどっているのは、先人たちの歩みにほかならない。そして、自分の足跡もその一部なのだ。

人はひとりでは生きられない。道はそんな当たり前のことを教えてくれる。たとえ、ひとりで走っていても、僕たちは孤独ではない。僕たちが進むのは誰かが通ってきた道。誰も通ったことのない場所は、未来の誰かが通る道になる。

顔も知らない誰かと歩みを共有する。そう考えると、旅が始まる前から楽しみでならない。

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ついでに、ここからは近況報告も。

地震ですよ。地震。
金沢に帰省していたら揺れました。能登は被害が大きかったのですが、さいわい無事でした。犬がおびえてリビングから玄関に逃げて震えていたくらいのものです。

どちらかというと、揺れていたのは僕自身の方でして、5月の連休は調子が悪くて、ずっとぐったり。疲労感が抜けなくて体が重い。食事をとるとムカムカする。小さな怪我が気になる。考えがまとまらない、と散々でした。

体調が悪いと、ちょっとしたことに悩み、ささいな出来事に落ち込みもします。日本列島縦断に関しても、連休中にあれこれと悩むばかりでした。当然ながら弱気な思考なので、考えを進められず。難しく考えて堂々巡りが続きました。どうやって動画を撮ろう、資金集めもしたい。正直なところ、けっこう揺れていました。

バカの考え休むに似たり。

ことわざにあるように、そんなことで悩むより、知識のある人、得意とする人に相談すればいいのですが、頭と心が弱っている時はできません。

むだなように思える一方、悩み苦しむ時間にも発見はあります。

弱っているからこそ、普段はいかに体力だけを武器に、仕事やレースを乗り切ってきたのだと再確認です。そうは言いつつも、しっかり優先順位をつけていたことにも思い至ります。むしろ、勢い任せの日常だから、無意識的になすべきことの順位をつけていました。

これができているから、目標に向かって勢いのままに動けます。細かい部分は後で考えればよかです。

シンプルでいい。発見はあまりにもシンプル。ラッパーR-指定の言葉を思い出します。「シンプルでいいんだよ」。まあ、僕の場合は韻を踏むわけではありません。

踏みしめるのは大地。しっかりと踏みしめて走ること。それが大事です。

連休が潰れて悩んでいたわりに、結論は至極単純で、体力バカそのものになりました。本当にことわざの通り。しかし、立ち帰る場所、最初の思いなど大切なものは自分に近すぎて、なかなか気づけないこともあります。調子がいい時には見失いがちなことなので、これはこれでよい発見です。そんなこんなで、体調も回復基調、心の揺れはおさまっています。

わかおかの山日記

(隔週水曜日更新)
山を走ったり、歩いたりするのが好きです。よく忘れ物をします。そんな日々を記すライターでランナーです。

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