Mostly earth, sometimes space.

近隣国の次期衛星達

ども、カルロスです。

10/7に仏領ギアナからのアリアンロケットの打上げが延期になりました。残念ですが、その時のアナウンスが秀逸で “これは良いニュースでもあります。特に搭載衛星関連のみなさま。みなさまの衛星は安全です。” そうなんですよね。無理を押す必要はないので、最善の準備を期待します!

前回に引き続き国際ネタなのですが、この打上げはタイのGISTDA(タイ地理情報・宇宙技術開発機関)とTASA(台湾国家宇宙センター)の衛星が搭載されていました。

THEOS-2

タイGISTDAのTHEOS-2は、期待がもりもりのTHEOS-1の後継機です。THEOS-1は2008年から今も運用中のとても長寿な衛星です。日本のALOS-1と重複した運用期間だったり、GISTDAとの協力もあったので私も思い入れが深い衛星です。

二代目THEOS-2は分解能も50cmに上がっているのでとても楽しみ。細かい地物がよりよくわかるはずです。

タイは本格的な雨季。洪水の心配もありますしね。役立つ出番がないのが一番ですけど、何かの時に力を発揮できることを期待します。

FORMOSAT-7/TRITON

台湾の衛星ですが、自国開発衛星の二号機。こちらも期待がかかります。

先代のFORMOSAT-5が初の自国開発のリモートセンシング衛星でした。つまりカメラを積んだ衛星です。こちらもまだ運用中。そして、今回のFORMOSATシリーズはTRITONという名前の通り海洋観測衛星、海上風などを観測する衛星です。

我々が普段からお世話になりっぱなしのGPSは衛星から自分の位置を測るものですよね。GPSはアメリカの衛星群の名前なので一般的にはGNSSというのが正しいのですが、この衛星達、機能としては、”僕、ここにいるよ〜” って言って回っているだけの衛星なんです。スマホやカーナビは、その衛星達の声を聞くことで、”じゃ、おれはここに居るってことね。” ってわかるのです。だから声がいっぱい集まった方が(複数の衛星の信号を掴んだ方が)精度がいいんです。

さて、なんでこんな話かっていうと、このTRITONはGNSS-Rという種類の衛星で、GNSS衛星の反射波(海面からの反射)を計測して、海面の波、波を起こしている風、海面の高さなどなどを計測する衛星なのです。GNSSの出す声を聞いてるだけの衛星、やまびこを聞いてるだけの衛星みたいな。

世界各国でこの種類の衛星の運用が始まっていて、気象・気候モデルの精度向上を目指しています。台湾もちょうど台風の進路に当たる国。最近は進路予測が難しい、困ったちゃん台風も多いので期待ですね。

画像はふと目にとまったアルジェリアの砂漠です。皮膚?オーストリッチの皮?色々イマジネーションが刺激されます。

アルジェリア東部の砂漠                            ©︎JAXA

気になる音楽のコーナー

Reminds me / 45Trio

すっかり秋っぽくなってきたので、こんなちょっと都会的な曲はいかがでしょう。

では、またまた。

ほぼほぼ地球 たまたま宇宙

(隔週月曜日更新)
人工衛星で観測される地球のデータをあれこれする仕事をしています。見知らぬ人から、カルロス!と声をかけられることがあります。

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