Mostly earth, sometimes space.

衛星から見える波

ども、カルロスです。

さて本題です(珍しい出だし)!

波の見え方

今日はいきなり画像なんですが、こちら。ジブラルタル海峡をSAR(合成開口レーダ)で捉えたものです。以前、海とか湖は、水面にあたったマイクロ波があっちに行ってしまうために、陸に比べて反射が弱く(画像としては暗く)なるってことをお話ししたと思います。この画像でも、下(南側)の明るい部分はモロッコです。暗い部分が海面なんですけど、けっこう濃淡ありますよね。これ、いろんな波が写っているんです。

いろんな波。例えば、風が吹き始めると海面と擦れて発生する風波。風が吹き続けると発達していって遠くまで広がっていくうねり。あとは、地震や海底火山で起こる波は津波だったり… 実はいろんな波ってほんとうに色々なんです。

5/2のジブラルタル海峡はこんなでした   produced from ESA remote sensing data

これらの波は衛星画像として上から眺めると、縞々に映ります。という目で見ると、いろんなパターンが見えてきませんか?ここでは、風波やうねりが海面を明るくしているのと、いくつか特徴的な海洋現象が見えます。

画像真ん中下のちょこっと飛び出た部分は、セウタという街でスペイン領なんですね、ここだけ。知らなかった。小さな半島のような部分の右側(東)海面は他と比べて暗くなっています。つまり反射が弱い=波が無い(凪いでいる)ということ。これはこの半島やその西側の地形の陰になって風が弱まっているということなのです。ということは、このときこの辺では風は西から東に吹いているということもおまけでわかります。

さて、この画像で一番面白いのは、海の真ん中辺に見える、大きな波たちです。実は、ジブラルタル海峡はこの種類の波が見えることで有名な場所で、この波、内部波と言います。

読んで字の如く、海の内部の波で海面で波立っている波とは少し性質が違います。海は実はざっくりいうと二層構造になっています。よく混ざって均一な温度の軽い(密度が低い)水と、その下の深くなるにつれてだんだん冷たくなる重い水です。前者を混合層と呼び、台風がやってきたり、かき混ぜる力が強く働くとこの層の厚さが厚くなります。状況によって厚くなったり、薄くなったりするのも特徴です。

この混合層の境目に波が起こること、これを内部波というのです。つまり、サラダドレッシングの油の層と美味しいところの層、ボトルを揺らすとゆらゆらしますよね?海のあれです。

内部波は、風がバンバン吹いたときに混合層を伝わって揺れたり、強い流れが海岸や海底に当たって揺らされたりなどの理由で起こります。ジブラルタル海峡も強い流れがあり、この画像のように風も吹いていると、ボトルゆらゆらと同じことがちょうど海で起こっているのだなということがわかります。

そういえば、私泳げないんですけど、海水浴で浮き輪にしがみつきながら、足を下に伸ばすと”冷たっ!” てなる時ありませんか?それ、混合層を足が突き抜けた瞬間ですw

気になる音楽のコーナー

I’m a Rat / HI-STANDARD

たまにやってくる激しめの曲シリーズです。ちょっと古めの日本の曲でメロコアというジャンルになりますが、この曲を最近アメリカのバンドNOFXがカバーしています。実はこの曲、この当時はHI-STANDARDへのNOFXからの贈り物。HI-STANDARDのドラムは少し前に亡くなり、NOFXもいよいよ解散。そんな、節目に昔親友に贈った曲をセルフカバーしたわけです。国境を超えた友情ですね。

では、またまた!

ほぼほぼ地球 たまたま宇宙

(隔週月曜日更新)
人工衛星で観測される地球のデータをあれこれする仕事をしています。見知らぬ人から、カルロス!と声をかけられることがあります。

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